午前1時半過ぎ、324キロ地点、長門市油谷町のコインランドリー。
素晴らしいベンチシートがわしたちを歓迎する。
乾燥機でジャージとシャツ類を乾かそう。
すり減ったオヤジ |
200円投入。
これで20分待たないといけない。
カラン、カランと音を立てて回り始める乾燥機。
目をつぶりしばしあちらの世界へ旅立つ。
音が気になるが、気にしない。
カラン、コラン、カラン、カラン、コロン。
ジャージのファスナーでも当たっているのかな。
・・・・・
戦士の休息。長椅子は天国 |
200円分の乾燥が終わり、乾燥機がピーと鳴いた。
ふたを開ける。
なにかが乾燥機の中に。
あ、オークリーの交換レンズ。
しかも度付きのやつ。
プラスチックのレンズを乾燥機にかけてしまった・・・
ジャージの後ろポケットに入れたままだった。
熱でゆがんだり、コーティングが剥がれたりしてないか。
やばいかも・・
気づいてしまったけど、気づかなかったことにして、レンズをしまう。
今ここで騒いでも事態が改善するわけでもなし。
メリノウールの長袖シャツを着る。
ほっこりとぬくいのが気持ちいいけど、乾燥機にかけたせいかサイズが心なしか小さくなった気もする。
まあ追及しないでおこうか。ハハハ。ハァ。(*´Д`)
ちなみにオークリーのレンズ、後日チェックしたのですが、縁が少し剥がれたぐらいで使用に支障ありませんでした。よかった (^^;
午前2時過ぎ、出発する。
30分は休んだ。
しかしこの時間帯は本当に厳しい。
休んでも休んでも休み足りない。
しかし休んだら前へ進めない。
実に悩ましい。
そして肉体的なパフォーマンスも激落ち君である。
頑張って足をまわしているつもりなのに、20キロちょろちょろがやっと。
なんと情けない。
深夜の国道191号をひたすら東へ進む。
油谷から日置へ。
天体観測ドームがある学校のそばを通る。
小学校らしいのだけど、立派だよなあ。
長門市の市街地に向かう丘を行く。
ん?
道の向こうからロードバイクの集団が近づいてきた。
ブルベエご用達のベストも着用している。
4人組でうち一人は現場のプロが着る点滅LED付きのベストだったような。
こんな時間に何で?
って思ったけど、それはこっちも同じことか。
ほんとに一瞬の出来事。
幻のような時間だった。
帰宅後、調べてみたけど、同時期にほかのブルベは開催されていなかった。
一体なんだったのだろう。あのトレインは。
191号を外れて長門市街地に入る。
仙崎駅に明かりがともっている。
休みたいけど、さっき休んだばかり。
突き当りを左折すると眼前に仙崎漁港。
暗くてよくはわからないけど。
シャッターを下ろした土産物店やかまぼこ店などがぽつぽつと並ぶ。
右の海側には道の駅やら漁港やらが。
まもなく正面に大きな橋が現れた。
青海島へ架かる青海大橋だ。
結構、傾斜がきつい。
上りきって橋を渡ると、青海島に上陸した。
事前に聞いていた通り、アップダウンがかなりきつい。
島の先端に近い場所まで行って引き返さないといけない。
今回、上関の長島や笠戸島、粭島でも同じパターンがあった。
今回のブルべ、当初は周防大島を一周する予定だった。
が、昨年の船の衝突事故で大島大橋が事実上の自転車通行止め状態に。
周防大島のかわりに島々を回るコースに変更したそうな。
理由は納得できるのだが、しんどいのには変わりない。
時折、先行するランドヌールたちとすれ違う。
お互いエールを送る。
すれ違うのがうれしくもあり、悔しくもある。
わしらと彼らはこうも引き離されているのかと。
羨望と絶望のまなざし。
小さな峠を越えたら、道は海岸線に出る。
ややフラット。
この辺で胃の調子がおかしくなってきた。
なんだか妙に吐き気がする。
飲み物を飲むとしばらく収まるが、まもなく再発する。
どうやら胃の中に食べ物が入っていなかったようだ。
補給が足りてなかったようだ。
上り坂の手前で思わず足を止めた。
酸っぱいものがこみ上げてくる。
戻そうとするが何も出てこない。
飲み物とちょっと補給食を口に入れたか。
なんとか収まったので、再び走りだす。
ふうう。
島内のアップダウンをこなす。
ノダカナらしき人物とすれ違う。
一体どのくらい離されているのだろう。
ほんとよく頑張るな。
島の入口から何キロ走ったのだろう。
港が見えてきた。
午前3時45分、347キロ地点のフォトチェック青海島のくじら資料館に到着した。
くじらの鎮魂碑の前で撮影を済ませる。
くじらのしっぽが見えるかな |
フロントバッグに入れておいたコンビニおにぎりをほおばる。
おなかに固形物が入ったせいか、むかつきは収まった。
また眠たくなってきたのだが、話に聞いていた仮眠ポイントは見当たらない。
しょうがないので青海島を引き返していく。
またもアップダウン。
この時間帯には厳しい。
ここ長門は金子みすゞの故郷だったね。
みんな疲れてみんないい。
みんな眠くてみんないい。
あかん、もう眠たい。
左手にバス停が見えた。
ケーキさんに合図して停車する。
「少し休みますか」
「え、どこで?」
「君の後ろにあるバス停で」
「あ、ほんまじゃ!」
どうやらケーキさんもたいがいらしい。
二人してバス停のベンチに腰掛け、一休みする。
おやすみなさい・・・
・・・・・
10分ぐらいの小休止。
だが空を見上げると、そろそろ群青色に変わってきた。
朝が近づいている。
走り出す。
長かった青海島が終わる。
橋を駆け降りる。
左手が海側、東の空。
次第に明るくなっている。
長かった夜が終わり、朝へ。
相変わらずパフォーマンスはどん底だが。
長門市の市街地を外れ、東へ。
すっかり空が白んできた田舎道を行く。
家が次第に少なくなり、見覚えのある田園地帯に入る。
補給したいところだが、ルート上にコンビニはない。
行く先を山塊が遮る。
来たな。鎖峠だ。
萩からは何回か越えたことはあるが、長門側からは初めて。
標高は230メートルで大したことないけど、ほぼゼロメートルからだからね。
平地でもがんばっても20キロぐらいしか出せない身にとっては厳しい。
上りが始まる。
決してきつい傾斜ではないけど、ダラダラと続く。
心理的にはいつまでも終わりそうにない。
いやはやまいったな、これは。
トンネルをいくつか抜ける。
上り続けること延々30分。
体感的にはもっと長かった。
午前6時前の鎖峠 |
午前5時55分、ようやく標高230メートルのピークに。
萩市に入る。
しばらく下る。
道端からサルの群れが現れた。
結構な数。
そして下りばっかりかと思いきや、上り返しが。
萩から上るときに、地味にだまされるのよね。これ。
ワレワレハ中盤の難所を突破した!
橋本川を渡ると、萩の市街地。
昨年の400で夕食を食べたすき家に寄ろう!
と思ったら、朝早くてまだ開いてない。
ここは24時間じゃないのか!
労働力不足に悩む日本社会の何かがわしらを直撃した。
仕方ないので、前へ前へ。
落ち着いた街並みの中を抜ける。
セブンがあったので休もうかと思っていたら、
どうやらオンルート上のすぐ近くにジョイフルさまがいらっしゃるらしい。
やった!まじ!
午前6時半過ぎ、出発から387キロ(Edge520調べ)地点のジョイフル萩店にピットインしたのだった…。
24時間営業ありがとうございます |
つづく
おつかれさま。読むだけでしんどいのが伝わる。
返信削除かなり壮絶じゃね。
4人組トレインはけーきさんもみとるんやろ?
いったいなんなんやー。
読むと疲れるのが身上みそなので、おほめいただき光栄不動産。
削除トレインはケーキ氏も見たらしいので、たぶん現実かと思われます('ω')
もうちょっと続くのか・・だれか変わりに書いてくれんかの。