2019年6月25日火曜日

BRM511広島600km Around Yamaguchi その9マジ卍峠ヒルクライムからのゴール編(完)

今回でゴールするよ!

5月12日午後3時半過ぎ、505キロ地点。
フォトチェックのある道の駅ピュアラインにしきに到着した。
一休み(撮影・AJ広島のゆかいな仲間たち)


フォトチェックの前のテーブルにAJ広島のゆかいな仲間たちがたむろっている。
ツネちゃんやマグナムさん、モリリンが迎えてくれた。
こういう場所で知った顔を見ると安心するねえ。
キリッ!(撮影・AJ広島のゆかいな仲間たち)


指定のオブジェの手前で撮影を済ませ、飲み物を買って再出発する。
ツネちゃんいわく「ここを4時までには出発しないと厳しい」
了解です。頑張ります。最善を尽くします。


次の目標は531キロ地点、標高776メートルの松の木峠。
ここもフォトチェックだ。
ここからずっと上り。
つまり26キロ上りが続く。
四国の京柱峠とか剣山みたいなもんだ。
ぼろぼろに打ちのめされたとはいえ、あれを思えばなんとかなるだろう。


さあ行くか。
ラスボスを倒しに。
いやラスボスにぼこられに。
午後3時45分、みんなに見送られて出発する。


実は松の木峠、吉和側から下りたことはあるけど、上るのは初めて。
序盤は錦川支流の宇佐川の道を行く。
気持ちのいい清流。
未成線である岩日北線の遺構が川向うに見える。
途中の雙津峡温泉まで「とことこトレイン」っていう遊覧車が走っているのよね。
一度は乗ってみたいな~。


川沿いの国道434号は、序盤はほぼ平たん路だ。
それほどの傾斜ではない。
じっくりと進んでいく。
広々とした道。右手には清流・宇佐川


次第に高度を上げていく。


深谷川との出合いを過ぎると、斜度が徐々にきつくなる。
山が両側に迫ってくる。
道はまだ2車線できれいだ。
トンネルをいくつか通る。
きれいな道が終わった、
道幅は1・5車線に狭まる。
酷道434号

両側は切り立った崖。
右下には渓流。
昔ながらの酷道が始まった。
ケーキさん、この坂がうれしいのか?


それでも時々、車は通る。
谷をはさんだ右手上では、新しい道路を造成している。
あの道を通ればもっと楽なのに…


道をじわじわと上る。
ようやく狭い道が終わり、拡幅工事の途中らしき道に出る。
頭上には中国自動車道の橋。
よくもまあこんなとこを通したものだ。
どなたかに抜かされた


ここからが宇佐郷の集落だ。
集落を抜ければ、松の木峠のとっつきのはずだ。


時刻は午後5時。
集落とはいえ、家はまばらだ。
そのまばらな中をじわじわ上っていく。


立派なバス停があった。
中にはぬいぐるみが飾られている。
地元の人に愛されているのが分かる。
豪華ホテル。寝ないけど('ω')


また動き出す。
相変わらずな斜度は相変わらず続く。
道は続く


宇佐郷ってこんなに広かったかな。
下りではあっという間に終わった気がするのに。
こんな山の中なのに、ぼちぼちと人家が続き、田畑がある。
どうなってんのよ、一体・・


さっきから30分以上上って、疲れた。
一息入れますか。
だいぶ上のほうまで来たのだが


路傍で止まる。
むすびを食べる。
食べると力がわく。
もぐもぐ


来た道を振り返る。
空が広く感じる。
山里の日暮れ


またペダルを漕ぐ。
右手に宇佐川の源流部が流れる。
三面護岸化されていて風情はない。
コンクリートの水路を水がさらさらと滑り落ちている。


集落がようやく途切れた。
道はますますそそり立ち、わしらの行方に立ちふさがる。


頭上に再び中国自動車道の高架橋が表れる。
時折、車が往来している音が聞こえる。


斜度は体感で十数%。
なのにEdge520は4~5%とか、残念な数値を表示し、わしの神経を逆撫でする。


リア34Tをしても、はいつくばってしか上れない。
34Tでよかった。
マジよかった。
ってか、終盤にこの峠道残すとはfuk@さん、マジ卍だよ。
あんな優しそうな笑顔の裏で、ひどい・・・・。


一番斜度のきついあたりを越えたが、まだまだ坂は終わらない。


つづら折りを上る。
左右は植林されたスギだかヒノキだかの針葉樹が続く。
うっそうと暗いが、夕日がその間を縫って、差し込んでくる。


路面は荒れているが、のろのろと上る分には関係ない。


こんな山奥なのに、路肩にはごみが散乱している。
eTrexの地図は、つづら折りの道を正確に書き出している。
そのピンク色の航跡をたどって、ピークを目指す。


そして、午後6時過ぎ。
ようやく着いた。
ラスボス、松の木峠のピーク、標高776メートルに。
531キロ地点。
フォトチェックなのでケーキさんに記念撮影してもらう。
ラスボス松の木峠に倒された!


止まると、虫が顔の回りに群がってくる。
目つぶしだ。
勘弁してくれよ。
夕暮れの高原風景

防寒用のレインジャケットを羽織る。
バフで口元を覆う。
さあ下るぞ!

これでよし。
一息入れて高原の緑の中を走り出す。


ここからは下り基調。
残り70キロ。
あとは重力に体をゆだねるだけ。
3時間もあればゴールできるのでは・・・
と、思っていましたよ。この時は…。


しかし問題はそう簡単ではないわけで。
一気に小瀬川沿いを下っていく。
荒々しい渓流を見ながら、いいペースでのダウンヒルだ。


らかん高原の道の駅を通過する。
津田への分かれまで順調に下る。


ここからしばらく上り返し。
再び下る。


道は小瀬川のダム湖沿いを進む。
そう。このダム湖沿いってのが実は厄介なのだ。
ダム湖だから水面からの距離はほぼ一定。
つまり川を下っているのだけど、ほぼ平坦路なのだ。
というか微妙なアップダウンがある。
松の木峠と戦った、わしらの疲れ切った足には実にきつい。
なかなか前に進まない。
ダム湖沿いの道


そんなのろまな亀を馬鹿にするかのように、カラスの群れが周囲を飛ぶ。
2,3羽が交代交代でわしらの行く手をさえぎる。
山の斜面を覆う落石防止用の金網につかまって、こちらをうかがう。
ヒッチコックの「鳥」じゃないけど意思を持つもののように見えてくる。
しばらく付きまとわれたが、なんか嫌な感じだった。
疲れた脳はいろいろとマイナスな思考を繰り出すのだろう。
午後7時、日は落ちて


そして周囲がだんだんと暗くなる。
2回目の夜が始まる。
ライトを点灯する。
メインのVolt1700はインジケーターの色がオレンジ色から赤色に変わった。
200ルーメンで15時間持つとはいえ、昨夜一晩ずっと付けたままだったからね。


黄昏時を過ぎる。
そろそろ眠気が襲ってきた。
なんだか脳内が意味不明なことを考えている。


危ないな。
一度、路肩に止まる。
補給をして気分転換。
再び走りだす。


Volt1700のインジケーターが点滅を始めた。
あ、電池切れか。


弥栄ダム湖沿いの覆道の中。
路肩に自転車を止める。
サドルバッグから交換電池を出し、取り付ける。
よし、これで大丈夫。


弥栄ダムは大きい。
なかなか終わらない。


それでも。
それでも。
ようやく右手に大きなダムの堰堤が見えて、ダム湖が終わった。
下り坂だ。
いくつかのトンネルを通過する。
坂が終わり、平坦部に出た。
道路の左端を走るわしらを、車が間隔を開けて抜いていく。
時折、ありがとうの意味をこめて右手を上げる。
ドライバーは見ていてくれたろうか。


気持ちがあっちに行ってしまわぬように懸命に押しとどめる。
耐えろ。耐えろ。
小瀬川沿いを進む。
左岸から橋を渡って、右岸へ。
広島県から山口県に戻った。


右折する。
小瀬川と錦川は水系が違うので、山で阻まれている。
その山を越す。
何度か走ったことがあるので、心の準備はできていた。
100メートル強の小さな峠。
でも600キロ近くを走ってきた足にはきつい。
トンネルを抜ける。
急傾斜の直線路を駆け降りる。


岩国インターチェンジの入口を過ぎ、錦川を渡る。
午後8時48分、581.1キロ地点のPC4デイリーヤマザキ岩国IC店にたどりついた。
貯金は1時間4分。
ゴール締め切りは午後11時、残り20キロ。
どうやら時間内に完走できそうだ。


買い物をしてレシートを受領する。
残り20キロ、無事故で走り切ろう。


錦川右岸を通って錦帯橋へ向かう。
途中、スマホを落としたけど、無事でした。
そしてライトアップした錦帯橋が眼前に。
錦帯橋よ!私は帰ってきた!


ようやく。ここまで。
感動もそこそこに走りだす。
夜の岩国市街地を抜けて、国道188号へ。
慣れ親しんだ道。
帰り道。
藤生から通津、由宇へ。


左手にコンビニの明かりが見えた。
セブンイレブン山口由宇店だ。
滑り込む。


ゴオオオオオオーーーーール!!!
5月12日午後10時17分。
山口県をぐるりと回る600キロの旅は終わった。
輪は閉じた。


ケーキさんと乾杯。
安堵の一杯


わしはノンアルで、ケーキさんはホットコーヒーで。
お疲れ様。
お互いよく頑張った。
この安堵感がブルべの魅力なのだよ。


最後にもう一仕事残っている。
跨線橋を越え、出発地点の潮風公園みなとオアシスゆうに戻る。
事務所の前に、ウノさんをとめる。
手前はノダカナ号

手続きを済ませる。
これで600キロ認定完走と相なった。
受付、お待たせしました!

今年初のブルべにしては上出来じゃないか。
リザルトによると、36人が出走し、33人が完走したそうな(認定試走含む)。
わしは後ろから3番目。
正真正銘のギリギリ隊だ。
認定タイムは39時間17分

ちゅーピーズのノダカナもわしらより30分以上早くゴール。
これで彼女は今季SRが確定。
「夢」への切符を手に入れた。
しゅごい。


ともかくも600キロの長い長い旅は終わった。
楽しくしんどい旅を企画してくれたAJ広島のみなさん、本当にありがとう。
一緒に走ってくれたケーキさんもありがとう。
感謝しかない。
STRAVAから


この日は車内で日付が変わるころまで仮眠。
眠気が取れるのを待って帰宅したのだった。


翌日は休みをいただいた。
疲労と睡眠不足と筋肉痛でほぼ一日使い物にならなかった。
日焼け対策を怠っていたせいか、筋肉痛ともあいまって体が熱を持ってしょうがなかった。
いやあ、600ブルべって本当にハードだわ。


ともかく今となっては、いい旅だった。
さあ、次はどこへ走ろうか。

終わり