ラベル BRM501広島600 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル BRM501広島600 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年7月1日日曜日

BRM501広島600km須波・徳島はDNF その7(完結編)

出発から317キロ、22時間経った5月2日午前4時過ぎ。
四国の屋根を支える剣山からなんとか下山した、わしら3人。
夜明けも間近な徳島県つるぎ町の貞光駅にいた。
お邪魔しま~す

時刻表を見てみると、始発は6時台。
ならば、始発までしばらくお邪魔させていただこう。
失礼します。


駅のベンチのなんとありがたいことよ。
屋根があって壁があって、最高じゃないか。
深甚なる感謝の念とともに横になる。
お休みなさい・・・・。


人の気配がする。。
まだ5時過ぎだよ。
どうやらご近所の方が駅の掃除にいらっしゃったみたい。
ううん、そろそろ退散するか。


ところで、つるぎ町から四国をどう脱出するか。
いろいろ考えたよ。
自走で帰る手もある。
ただ徳島県のど真ん中にある、つるぎ町から、しまなみ海道の入り口である今治まで120キロ以上。
ということは須波まで200キロ以上あるってことじゃん。
なので却下。


となると輪行がいいのだが、ケーキさんがががが・・
なので、最寄りの街で輪行袋を購入して、輪行して帰るようにしよう。
輪行袋を扱っていそうな自転車店があるのは、つるぎ町の北にある高松市か。
山越えをしないといけないが、距離は約60キロといったところ。
なので、今の状況ならなんとか大丈夫だろう。
ってな内容を、グーグルさんに聞けばすぐ教えてくれた。
高松なら大きい自転車屋さんもあるみたい。
そこから瀬戸大橋線で四国を脱出して、山陽線で戻ればいいじゃん。


よし、行きますか。
午前5時半、サクさんと別れのあいさつをして、貞光駅を離れた。
空が明るくなってきた。
この日も雨予報だったが、まだ曇り空で踏みとどまっている。
グーグルさんによれば、国道438号を北上すれば、山越えできるらしい。
吉野川に架かる橋を渡る。
ゆるやかな上り。
インターチェンジのそばに自販機があったので、一息つく。
目の前に讃岐山脈の山塊が東西に横たわる。
剣山ほどでないにしろ、なかなかの山々だ。
なかなかの山塊。あそこを越える

国道438号クライム開始!
午前6時ごろなのだが、結構交通量が多く気を遣う。
トラックの姿が目立つ。
徳島と香川を結ぶ幹線道路なのだろう。
路肩はそれほど広くない。
正直、自転車向きの道じゃない。
走っていて楽しくない。
けど、最短ルートならここ。
STRAVAで地元の人がセグメントを設置していた。
標高差385メートルで距離5.5キロ。平均勾配7%。
結構な上りである。
ほぼ徹夜で1000メートル級の山を二つ越えた体には応える。
結局、上るのに1時間弱もかかってしまった。


トンネルを越える。
結構長い。
2、3キロあったのではないか。
ちなみにこの界隈、テンションがだだ下がりで全自動機械になっていたので、写真はありません(^^;)


トンネルを過ぎると、香川県側に突入。
しばらくゆるやかなダウンヒルが続く。


時折、自転車を停めてグーグルさんで進路を確認する。
そろそろスマホの電池がヤヴァイ。
モバイルバッテリー、5000mAh前後のものだけど、もっと大容量にすれば良かったなあ。


まんのう町から国道438号を走り、国道32号へ。
eTrexを見ると、地図上にブルベのルートであることを示すピンクのラインが。
敗残兵の撤退ルートと正規ルートがたまたま重なったということだ。
正規ルートとは進行方向が逆向きになるが、走ってみることに。


午前8時ごろだったか。
対向車線に蛍光ベストを着たランドヌールの姿が。
おおお。
彼はあの魔の山を越えてきたのだ。
決して速くはないけど、着実にペダルを回している。
ああ、すごいな。
手を振る。
分かってもらえただろうか。
心に灯が灯った。


さ、頑張ろう。
国道32号を高松方面へ向かって進む。
道幅の広いバイパスなので、趣には欠けるが、走りやすくはある。


そろそろ腹が減ってきた。
ところで現在わしらがいるのは香川県。
そう。世に名高い、うどん県なのである。
聞くところによると、うどん県人は朝からうどんを食べるらしい。
となると、どっかに朝うどんを食べられる店があってもいいはずだ。


道すがら何軒かのうどん店を見つけた。
実はこの界隈、過去にうどんツアーで訪れた場所だったのだ。
しかし不幸にも朝うどんをいただける店には出会えなかった。


と右手に、うどん店の看板が。
ロードサイドの結構な大型店。
しかもやってるっぽい。
やったあ!


道路を渡って、店内に突入!
丸亀某でお馴染みのセルフ形式なので安心するね。
うどんとお稲荷さん、天ぷら。安定のトライアングル。
朝うどんをしばく。ンマー ('ω')

うまいわ~。
時刻は午前8時半。
こんな早い時間なのだが、店内は結構にぎわっていた。
さすが香川県やね。


小一時間、のんびりした。
DNFしているので時間は気にしなくていい。
次に行くべき場所は自転車店。
グーグルさんに相談すると、近くにイオンモールがあり、そこに自転車店があるようだ。
しかも9時ごろから営業しているという朗報も。
さっそく向かってみる。
あっという間にイオンモール綾川前に到着。
改めて電話で確認すると、あるというじゃないですか輪行袋。
やったぜ、ケーキさん!
なんでもそろうイオンモール


大枚数千円を払って、ようやく輪行袋をゲット。
これでJRで帰れるぜ。


さらに進むこと1時間ちょっと。
高松の市街地に突入。
ずんずん進む。
都会の道を行く

有名な栗林公園とかあったけど、外から眺めるだけ。
11時前に高松駅に到着したのだった。
走行距離379キロ、28時間45分の自転車旅はひとまず終わった。
DNFした剣山が281キロ地点だったので、撤退にほぼ100キロを費やした。
駅前で輪行スタート!


で、ここから輪行モードに突入。
売店で家への土産を買って、11時40分発のマリンライナーに乗り込む。
外国人観光客もちらほら

ノンアルで乾杯したかったけど、売店にはなかった(^^;)
うつらうつらしている間に瀬戸大橋の上に。
車窓に瀬戸大橋の橋脚が


1時間の鉄旅はあっという間。
車窓を見ていると、雨が降り始めた。
岡山で乗り換えて山陽線で三原へ。
自転車は端っこにまとめて

福山までは結構人が多く、座ってられなかった。
三原駅には14時半ごろ到着。
外はすっかり雨。
すり減った感

呉線への乗り換え時間が40分ほどある。
ケーキさんに「須波まで自走する?」と聞いたのだけど、固辞された。
40分待って、呉線へ乗り換え。
一駅乗って、須波駅で15時過ぎに下車。
輪行を解除する。
須波駅で変なポーズをとるおぢさん


一路、みはらし温泉へ向かうよ。
DNFとはいえ、雨具に反射ベストというランドヌールの正装である。


雨が結構降っている。
しまなみ海道を帰るみんなは大変だろうな。
600キロ走っていないDNF野郎なのだけど。
でも、帰るってのはやっぱ、ほっとする。
顔がにやける。
にやにやおぢさんが通りますよ~


みはらし温泉が見えた。
ただいま~~~~。
午後4時前、駐車場に滑り込む。
T前代表やこなきさんの姿が。
ただいま~(撮影・こなきさん)


ほんまは午後10時の締め切り前にへろへろで帰ってくるつもりだったのが、思いもよらぬ展開で、明るいうちの帰還に。
もっとも速いランドヌールさんはすでに帰ってらっしゃるわけで。
山口のfuk@さんとか。
早く帰れる人の気分を少しだけ味わえたのだった。
こなきさんにコーヒーを振舞ってもらった。
カフェこなき♪


うれしいねえ。
その後は温泉に浸かって、夕食をいただく。
お風呂、まじ気持ちいい♡
自分へのご褒美定食、いただきます


んで、午後9時には帰宅。
翌朝帰宅するつもりだったので、よかったのかな。
だが、体に残ったダメージはさすがにすさまじかった。
足や肩の筋肉が熱を持っていたので、時折、バンテリンをすりこんで、どったんばったんのたうちながら寝たのだった。


というところで、今回のブルベの記録はおしまい。
実にハードな旅でございました。
AJ広島のサイトによると、出走27人中完走は17人。
DNFが10人もいたという・・。
そりゃ、ま、そうだよね。


だが、厳しい四国の山々に挑んだ経験は得難いものだった。
DNFしてからの旅も味わい深かった。
シカやタヌキやイタチやテンたちとの出会いもあった。
記録には残れなかったが、記憶に深く刻まれた旅だった。
そして昨年秋のDNFとは違い、不思議と口惜しさはない。
力を出し切ったけど、力が届かなかったのが分かったからだろう。
ただただ力不足だった。
四国の山に負けた。
己の矮小さを知った。


AJ広島のみなさん、ありがとうございました。
サクさんもまた走りましょう。


自転車シーズンはこれからだ。
さあ、次はどこへ走ろうか。

おわり

2018年6月24日日曜日

BRM501広島600km須波・徳島はDNF その6(真夜中の剣山ダウンヒル編)

標高1400メートルの山の上に午前1時。
しかも自転車のサドルにまたがっている。
なかなかありえない状況ではないか。

ということでDNF記念にいろいろ写真を撮っちゃうわしら。
オーノー!

こっちもオーノー!

峠のトンネル前で

もともと剣山はフォトチェックの場所だったしね。
間に合わないと分かっていつつ、山頂まで上ってきたのには訳がある。

エスケープルートが山頂からしかないのだ。
決められたルートをそのまま進むか。
それとも国道438号を北方面へ下山するか。
二つに一つ。
ここは人里により近いと思われる北方面一択で。
それでも、ふもとのつるぎ町まで40キロ以上ある。
まじかよ、40キロずっと下り坂ってこと?
気が遠くなる。

その前に下山の準備をしなくては。
ピークからちょっと下ったところに立体駐車場があったので、そこに避難する。
風は通るが、野ざらしよりましだろう。
ふもとではパラついたものの、雨は降っていないのが幸い。
と、下から光が上がってきた。
さきほど抜かしたサクさんだ。
サクさんも北へエスケープするとのこと。
ならば暗い夜道。
旅は道連れ。
ライトが多い方が明るさも増す。
一緒に下りましょうよ。
サクさんは下ったところにある駅から輪行するという。
それいいですねえ。
大人の選択ですねえ。
が、ケーキさん「輪行袋持ってきてません」。
え、君今何て・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

どうりでオルトリーブのサドルバッグだけで済んだはずだ。
ま、ないものはしょうがない。
この1400メートルの土地に輪行袋が転がっているはずないし。
降りてから考えるとしましょう。

汗に濡れたジオラインを脱ぎ、着替える。
この時のために持ってきたのだ。
再び身支度を調える。
ダウンヒルのために再び雨具を着込む。
テムレスも着用。
フル装備だ。

山上だが、宿があり、暖かそうな光が灯っている。
正直、あそこで泊まって休みたい。
でも予約していないし、こんな時刻に行ってもただの不審者。

午前1時過ぎ。
さあ生きましょう。
じゃない、行きましょう。
決死隊、真夜中の逃避行へ

3人で走り出す。
分かれ道を過ぎて、しばらく行く。

剣山山頂への登山口があったかな。
国道438号の下り坂が始まる。
ここからだ酷道が本当の牙をむいたのは。

右へ曲がる。
左へ曲がる。
路面が悪い。
前ホイールが暴れる。
ハンドルが震える。
激しい振動が手元に伝わる。
腰を浮かして振動をいなす。

また右へ曲がる。
左へ曲がる。
右へ曲がる。
左へ曲がる。
右へ曲がる。
左へ曲がる。

ライトで照らされる限られた視界の中に、同じ風景が繰り返される。
また同じ景色。
同じリズム。
いつまでも終わらない奈落への下り坂。
曲がっても曲がっても続くカーブ。
わしは無限ループの中に入ったのか。
永遠に続くとも思われる時間。
時折、高度に目をやるが、全然減らない。
本当に下りているのか。

手が疲れてきた。
ずっとブレーキを握っているので、握力が続かない。
ケーキさんとサクさんに合図して止まる。
眠気もあるし。
サドルにまたがったまま、ひと息入れる。
「2,3キロごとに休みますので」
DNFしたので時間は気にしなくていいしね。
二人に伝える。

また下りが始まる。
同じ風景のリピートかと思いきや、時折、シカの姿が浮かび上がる。
わしらに驚いたのか、慌てた様子で斜面を駆け上がっていく。

飛び出してくるなよ~
内心祈りながらそばを通る。
当たったら、そこで終わりじゃよ。
幸い道路上に飛び出してくることはなかった。

眠気覚ましに声を上げる。
「段差!」とか「石ころ!」とか。
少しましになる。
後方のためというよりか、自分のために。

これを10回近く延々と延々と繰り返す。
途方もない作業。
ようやく標高が下がってきた。
まったく信じられない下り坂だ。
四国半端ないって(流行語)
下り始めてから2時間近く経過した。
1.5車線だった道も多少はましな広さになっている。
午前3時半過ぎ。
トンネルがあった。
歩道が結構広い。
もう耐えられない。
スローダウンして、自転車を止める。
「休みましょう」
ケーキさんとサクさんに伝える。
明るく乾いた素敵な歩道に退避

乾燥したトンネルなので、直接横になっても問題ない。
気を失う。
・・・・・
気を失うケーキさん

20分ほど休んだか。
STRAVAのログを見返すと、山頂から約25キロ。
306キロ、標高250メートルの地点だったようだ。
また走り出す。

右手に自販機発見。
ドリンク休憩。
温かい飲み物が染みる。

また走り出す。
左手に渓流。
斜度はそれほどでもなくなった。

おや、後ろの二人が止まっている。
確か、ケーキさんのボトルケージが外れたのではなかったか。
暗闇で手さぐりで修理するがうまくできない。
どうやら根元からボキっといったらしい。
路面の振動が激しかったせいだろう。
ほんま酷道、半端ない。
修理するケーキさん。携帯工具なので締めにくい

トンネルから小一時間下っただろうか。
ようやく坂が終わった。

午前4時過ぎ。
家々の明かりが見えてきた。
人里だ。
生きて帰れた。
安堵する。
川の流れも緩やかになってきた。

橋を渡る。
右手に線路がある。
町がある。
駅への看板を見つけた。
午前4時過ぎ。
須波から317キロ。
JR徳島線の貞光駅に到着したのだった。
文明への入口。ただしサクさんだけ

まだつづく。