ゴールまであと100キロ。
4日午前7時。
締め切りまで残り7時間。
元気な時ならなんてことはない。
でも・・・
やれるのか、わし。
錦川沿いの快適路が終わり、菅野ダムへの上りが始まる。
結構な斜度がある。
それぞれのペースで上っていく。
ようやくダムの堰堤部分に到達した。
堰堤の上が道路になっているので渡る。
先を行くガチオ君が何かを指さしている。
おお、堰堤の下から雲が吹き上げている。
おお、これはすごいわ。
堰堤を越えると、ダム湖周辺を走る道が続く。
小刻みなアップダウンが続く。
斜度も結構ある。
我慢の時間だ。
耐える時間だ。
辛抱の時間だ。
橋を渡り、ダム湖から離れていく。
上り坂が続く。
ようやく上りきる。
民家が増えてきた。
田園地帯が目の前に広がる。
周南市の須々万地区だ。
脚はもう売り切れている。
国道434号から国道376号のバイパスに合流する。
ゆるい坂なのにスピードが出ない。
10キロ以上が出せない。
400キロでここ走った時はもっと楽だったのになあ。
ガチオ君が「もう少ししたら下りですよ」と励ましてくれる。
そうなのよ。
この辺は、わしもコースの下調べはしているので、それは承知している。
バイパスが終わり、左折。
国道315号に入る。
もう少しで峠だ。
あと2キロぐらい。
ゆるい坂だ。
なのに、とんでもなくしんどい。
脚が重い。体が重い。
六日市での補給不足で、ハンガーノック気味になっていたのかもしれない。
とにかく下り坂まで頑張ろう。
そうすれば、あとは重力に任せるだけだ。
日曜朝とはいえ、通勤時間帯なので車は多い。
這うように進むわしをびゅんびゅんと抜かしていく。
そして。
峠のトンネルが見えた。
午前8時過ぎ。
最後のヤマが終わったのだ。
後は平地基調のはずだ。
トンネルを抜ける。
ダウンヒルが始まる。
結構、斜度がある。
カーブも多い。
道は半分ウエット。
乾いた部分だけを走れるといいけど、そうもいかんし。
車もそこそこ多い。
気を使いながらのダウンヒル。
慎重に。慎重に。
で、無駄に坂が長い。
眼下に見える徳山の街並みがなかなか近づかない。
終わらない。
ブラケットだとブレーキをかける握力が心配になってきた。
下ハン握って、ブレーキをかける。
踏ん張れ、わし。
耐えろ。
標高差380メートル、距離約9キロ。
今回、何カ所かあったダウンヒルの中で、周南への下りが一番厳しかった。
体力、気力が低下している中で、実にしんどい時間だった。
ようやく住宅地に出た。
国道2号の周南バイパスを横切る。
とろとろと下っていく。
左手にセブンが見えた。
午前8時24分、525.9キロ地点。
PC5のセブンイレブン周南遠石店に到着した。
午前9時4分のクローズ時間まで余裕はわずか40分。
危なかった。
ちなみにPC4からPC5までの平均時速は14.47キロ。
そうかブルべの設定時間である15キロを下回っていたのか。
この間のコースが厳しかったことの証しだ。
ゴールまで残すは80キロ弱。
午後2時までにゴールすればいいので、5時間半はある。
ここでようやく600キロ完走を確信したのだった。
つづく
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