2016年7月17日日曜日

BRM702岩国400キロ その5

ようやく折り返し点の角島灯台に着いたポンコツオヤジ二人組。
なんとか12時間以内、陽の光が残っているうちに200キロを走破できた。
後は頑張って頑張って由宇に戻るのだ。
トイレに行って、用を足したり、顔を洗ったりする。
自販機で飲み物を買ってボトルに補充する。
これから当分、山岳はないはずだけど。


角島灯台よ、さらばだ


ちなみにPC2から角島灯台の距離は45キロ。
わしらはここを2時間48分で走り抜けた。
時速にして約16.2キロ。
前の区間よりも早かったが、誇れるスピードではない。
でも、その時はそんなことを考える余裕もなく、ただただペダルを回すだけ。


距離はプラス15キロで(^_^;)

ケーキさん乙

時間は午後8時過ぎ。
400キロの制限時間は27時間。
あと15時間かけて200キロを走り切ればいい。
そう考えると少しは気が楽になった。
意を決して走り出す。


ウノさんのリアライトをすべて点灯する。
ここからは夜の道だ。
さあ行くか。
角島の道を引き返す。
ケーキさんのライトが点滅していたので、常時点灯にしてもらう。
パカパカしていると、気が散るというか、催眠効果があるというか、目ざわりというか。
あたりはどんどん暗くなる。
これからは二つのフロントライトが頼りだ。


角島大橋に再び差し掛かる。
右手前のホテル西長門リゾートの光が明るい。
ヒョオオー。
欄干を通りすぎた右手からの風が唸り声を上げる。
寂しげな音だ。
そういえば先刻会話を交わしたPANAランドナー氏が言ってたな。
「昨年の角島は秋に走った。ここに来たときは真っ暗で」と。
想像するだに寒くて寂しい。
それに比べれば、ややましか、


唸り声を上げ続ける橋を後にして、ようやく本土に戻る。
先ほど見た、角島に沈む夕日を楽しめる系のリア充レストランには、すでにチャリ属がいる風ではない。
速いお方だけの特権だよなあ。
貧脚のわしら二人は目もくれずにのろのろと走り続けるだけだ。


日暮れてきた道をとぼとぼと走る。
特牛(こっとい)から、海沿いの国道191号と別れを告げ、内陸に向かう国道435号へと進む。
あたりはすっかり真っ暗。
そこを淡々と進む、わしら自転車ゾンビ。
次のPCである美祢へ向け、黙々と走るしかない。


光が踊る。

風が吹き抜ける。
雑木林がざわめく。
何かが落ちてガサガサと音を立てる。


あたりに町の光はない。
ときどき対向車が通り過ぎるだけ。


空を見上げる。
真っ暗だ。
いや、雲間に星が見える。
きれいな星空だ。
南の星空か?
星々の光が集まっている。
なんていう星座なのだろう。


左手を見る。
雲が時折、光っている。
雷ではない。
あれは風力発電の航空警告灯だな。
結構明るいものだ。
一定の間隔を置いて、雲を照らし続けている。


ちょっと前から足の感覚が変だ。
「おれはもうつる」って言っている。
つられたら困るので、だましだまし、足に負担をかけないようにぺダリングする。
でも、もう限界だ。
自販機とか、切りのええところで停車しようと思っていいたのだけど、いつまで進んでも山の中。
ありゃしねえ。
ビキッ!
とうとうその時が来た。
つり神様が降臨なされた。
212キロ地点。
足を止める。
いずことも知れぬ山道だが、一休みするしかない。
クリートを外すのが一苦労だ。


川沿いなのか、ホタルがふらふらと舞っている。
薬を飲んだり、おむすびを食べたりして一息入れる。
ケーキさんはiPhoneの充電に余念がない。
闇の中の男

エイリアンなライト


ドリンクでのどを潤す。
そろそろ少なくなってきたので、次に自販機があったら買わないと。
10分ほど休んで走り出す。
なんとか走れる。
上りはノロノロ。
下りも飛ばせない。


道は真っ暗。
いつまで走っても自販機が見当たらない。
街中なら、ぐるりと見回せばすぐに見つかるのに。
まだか。
まだか。
まだですか~~~!(怒)
・・・・・・。

10キロ走って、道端を照らす救いの光が現出した。
ようやく自販機!

この光がありがたい。蛾の気持ちがわかる

なんと30分以上もかかってしまった。
恐るべし山口県。
恐るべし国道435号。


時間は午後9時半。
ドリンクを注ぎ足し、再びペダルを回す。
また何もない道だ。
感情を切り離し、機械になって淡々と走る。
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・


ちょっぴり家の灯りが増えてきた。
どうやら下関市豊田町西市というところらしい。
さっきからずっと下関市を走っているな。
交差点を曲がり、工事現場を過ぎ、高架下を右折する。
側道のようなところを走り、広い2車線道路に出る。
どうやら国道435号のバイパスらしいが、必要なのかバイパス。こんな場所に。
日中なら、はるか向こうを見渡せるバイパスはやる気をそがれるものだが、夜なのであんまり関係ない。
ただただ、機械になって(以下略)
・・・・
・・・・
・・・・


左手の丘に団地らしき灯りが見える。
ん、あれは美祢市が誘致した国内初の民活刑務所だ。
売れなかった工業団地をなんとかしようと、誘致したんだったよな。
昔、仕事で訪れたことあったよなあ。
入口の交差点近くには、赤ちょうちんが。
なるほど、施設で働く人がいるんだから、そういうニーズもあるよね~。
なんてことを考えながら、ノロノロと坂を上っていく。


小さな峠を越える。
そろそろ美祢の街が近いはずなんだけどなあ。
街の灯りが目立ち始めた。
工場らしき灯りも。
立体交差を通って、市内に下りる。


ようやく美祢市中心部に着いた。
PC3が近づいてきた。
だが、PCのあるコンビニは美祢ICのそば。
東の街外れにあったはずだから、まだ結構遠い。
ケーキさんも疲れているのだろう。
早く休みたいのだろう。
「コンビニまだですかね」と繰り返している。


宇部興産のセメント工場を左手に見ながら、市街地を抜ける。
ちょっと街の灯りが減ったころ、行く手にローソンの看板が。
「ようやく休める」
安堵する抜け殻オヤジたち。
午後11時30分、252キロ地点のローソン美祢インター店に到着した。


深夜のコンビニ。ようやく美祢だ

つづく

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