2019年6月19日水曜日

BRM511広島600km Around Yamaguchi その8 眠さも峠だ編

5月12日午前11時50分ごろ、460キロ地点。
通過チェックのローソンポプラ津和野店に到着したワレワレ。
相当くたびれたよ。
顔真っ赤。酒飲んでませんよ(撮影・AJ広島のゆかいな仲間たち)


すでに計算する頭が壊れていたので、想定締め切り時間が分からない。
モリリンに聞いて、ようやく13時40分ぐらいということが分かった。
となると貯金は2時間を切った。1時間50分ぐらいか。
ともかくは冷たいものを飲んで、補給して走りだす。
午後零時12分ぐらいかな。
休憩に20分間使った。


落ち着いた街並みを抜ける。
さあ上りの始まりだ。
風情のある街並みだ

と思ったらいきなりきつい上りなにこれちょっと待って待って。
5%~10%の坂が続く。
サラピンの足なら耐えられるかもしれないが、くたびれた今の体にはこたえる。


つづら折りの坂が続く。
34Tで這うように上るわしらの横を、ルックだったかタイムかの仏製バイクがするすると抜かしていく。
あんな風に軽々とヒルクライムしてみたいものだよ。


心が折れそうになりながらも、なんとか国道9号にたどり着く。
赤い大鳥居がわしらを歓迎する。
津和野入口の大鳥居

おお、わしはこの風景を知っておるぞ。
2016年の初めての600キロで、泣きそうになりながら見た大鳥居だ。
あの時は真夜中の道を右も左も分からず上った。
今回は真昼間。
ここから、さらに唐人屋トンネルへの上りが続くのだ。


つづら折りが続く、走りやすいとはいえない道だが、通行量はそれなりに多い。
六日市方面から津和野への近道なので、バイクのツーリング族も目立つ。


暗いと先が見通せないが、明るいので坂の先がよく見える。
どこまでも続いていく坂道が見える。
げんなりする。
山をぐるりと巻くと、目の前にお椀をふせたような青野山がそびえる。
昔の火山だそうな。
道は青野山へは向かわず、谷を隔てた山塊へと向かう。
それまでも7~8%級の坂が続いていたが、さらにきつさを増す。
体感10%以上だし、実際のログでもそうだった。


頑張っても頑張ってもつらい坂。
太陽は天空高く舞い上がり、強い日差しがわしらの脳天を直撃する。


あがが。
足に痙攣が。
つった・・・。
くるくると回してごまかそうとしたけど、無理。
もう無理。
足をつく。
しばらく押し歩く。
水分も補給する。


ふたたびウノさんにまたがる。
のろのろと進む。
それでも押し歩きよりは若干速い。
そんなカタツムリのそばを時折、バイクが爆音を立ててパスしていく。
楽そうだな。いいなあ。


そして津和野を出て約1時間。
緑濃い道の先に黒々とトンネルが口を開けている。
おお、ようやくピークか。


午後1時15分、標高589メートルの唐人屋トンネルにたどり着いた。
これで今回の山岳の中ボスを制覇した。
トンネルは結構長く、涼しかったような気がする。
くたびれました


そして吉賀町柿木村方面へのダウンヒルが始まる。
緑陰の中の谷沿いの道を一気に駆け降りる。
こっちも結構な斜度だ。


まもなく福川川に合流する。
ゆるやかな下りを進む。
次第に家が増え、高津川との出合いにある柿木村の街並みに入る。


コースをちょっとだけ外れ、道の駅かきのきむらに向かう。
山越えで飲み物をほぼ飲み干したので、ドリンク補給だ。


ここからは国道187号を高津川沿いに上流へ向かって走る。
ほぼ平坦。
実に走りやすい。


風は横からだけど、追い風っぽかったかな。
くたびれたオヤジたちでも20~25キロくらいで巡航できている。
これだけのペースで走れれば文句ない。


ん?進行方向の山から黒煙が立ち上っている。
山火事か。
山から黒煙が

それにしては白煙じゃないな。
学校のグラウンド横に差し掛かる。
町内放送のスピーカーが、出火報を告げ、消防団の出動を促した。
どうやら七日市の集落で民家火災らしい。
ここからは山に隠れて分からないが。


さらに進む。
いったん収まったかに見えたけど、近づくに連れ、黒煙が勢いを増してきた。
集落の中か激しい勢いで黒煙が上がっている。
折からの風にあおられ燃え広がっていたようだ。
消防団の現地到着はまだのようだ。
黒煙が風になびく


現場は国道からは200~300メートルは離れていた。
それでも燃えカスが飛散してきて、路面で漂っている。


時間がないので、足を止めることなく、現場付近を通過した。
後日の新聞によると、一帯の22棟を焼く大規模な火災だったという。


まもなく吉賀町六日市だ。
交差点を右折し、国道187号を岩国方面へ向かう。
右手にあるローソン六日市インター店に滑り込む。
実質最後のコンビニ

ここ以降、大竹までルート上にコンビニはない。
次のフォトチェックの錦の道の駅は品揃えに不安がある。
なので補給。
山を越えるためのエネルギー源


だらだらとした坂を上る。
六日市側からだと、とても峠とは思えないのが傍示峠の特徴だ。
広島人大好きの山賊
右手にはおなじみの山賊が。
もちろん寄る暇はなし。


標高375メートルの傍示峠から一気にダウンヒル。
標高差300メートル近くを下る。
路面はあまりよくないし、トンネルも多い。


特にトンネルは照明が少ないので、気を遣う。
Volt1700を点灯し、路面を確認しながら走る。
路面を確認できないと、平衡感覚が狂う。
これは怖い。
下手すると転倒する。
慎重に下る。


眼下に道の駅にしきが見えてきた。
7キロ近いダウンヒルが終わった。


午後3時半過ぎ、505キロ地点。
フォトチェックである道の駅ピュアラインにしきに到着したのだった。
なぜか4人で到着(撮影・AJ広島のゆかいな仲間たち)


つづく

2019年6月18日火曜日

BRM615広島400km 徳山・竹田津 その1 まずは完走報告編

実にひどい雨だった。
レインウエアを着ているのに、雨粒が肌に突き刺さる。
こんな経験は初めてだった。
雨じゃあああああああああ


BRM615広島400km 徳山・竹田津、24時間55分で認定完走しました。


15日午前7時、徳山港をスタート。
雨の状況を鑑みて、山口県内のPCはすべて通過チェックにする措置が。
死地に赴く一兵士の心境が少しだけ分かる気がした。
徳山から山を越えて、山口へ。
荷卸峠通過!(撮影・AJ広島のゆかいな一味)


晴天時と比べると、進まない。
午前9時55分、52キロ地点のローソン山口黒川店。
貯金はわずか41分。
イートインの椅子はタオルで水分をふいておきました


小郡から美東、秋芳へ。
フォトチェックの別府弁天池は湧水が美しいエメラルドグリーン。
雨で新緑がしっとりと


このあたりから風雨が次第に強くなる。
長門への下りは雨粒が痛いほど。
眼鏡もびしょぬれで見えにくい


119キロ地点、PC2の千畳敷は雲の中。
斜度十数%という激坂を上ってたどり着いたのに・・・
時刻は午後2時26分で30分の貯金。
視界が最悪。千畳敷ならぬ四畳半敷

東後田の棚田を回ったのだが、景色が残念で・・・
晴れていればさぞ


山を下りる。
午後3時半、ようやく雨が峠を越した。
雨やんだ!


長門から下関市へ。
雲が切れてきた


国道191号の福徳稲荷の入り口でフォトチェック。
風は順風


これまで苦しめられた風に助けられ、下関市街地に入る。
下関北バイパスむっちゃ走りやすい!


午後6時47分、193.5キロ地点のPC3ファミリーマート下関あるかぽーと店に。
貯金は1時間9分。
お、ゆかいな一味じゃ!


関門トンネルを渡り、門司へ。
もちろん押し歩きですよ


黄昏時の門司港駅はいい感じでしたよ。
黄昏時のレトロ駅舎とウノさん


市街地を抜け、山を越える。
北九州空港へのアクセス橋は長すぎて退屈でしたよ。
気温20度、風速8メートル毎秒


フォトチェックのメーテルさんとあいさつ。
さあ行くんだ。その顔を上げて


国道10号をひたすら南へ。


午後10時2分、256キロ地点のPC4デイリーヤマザキ福岡犀川店に到着。
地元のいちごオ・レの妖精が歓迎してくれたよ♡
ばんばんさん(左)とケンセイさん(撮影・AJ広島のゆかいな一味)


京築アグリラインを通過。
道の駅で仮眠する。
ようやく見つけた安息の場。福岡にはバス亭ホテルが少ない


国道10号を通り、大分県へ入る。
宇佐からは国東半島の根っこを深夜の山越え。
まっすぐ走れば宮崎!


眠気と付き合いながら、杵築市へ。
店舗の横に隠れて仮眠


午前4時21分、337.1キロ地点のPC5セブンイレブン日出IC店にピットイン。
貯金は1時間7分と変わらず。
夜明けの兆し


そしてオヤジたちにも新しい朝が来た。
希望の朝だ


国東半島の東岸をほぼぐるりと回る。
濡れた路面は雨の後のあかし


向かい風が苦しい。


そして6月16日午前7時55分。
ゴールの竹田津港に到着した。
ゴール!(撮影・AJ広島のゆかいな一味)


実にハードな400キロだった。
特に前半の暴風雨にやられました。
この悪条件下に無事故でゴールできたこと。
それが何よりの収穫だ。
よくやったよ、と自分を褒めてやりたい。
今回のコースね(作成・fuk@さん)


というところで簡単なご報告は終了。
本編はしばし待たれい!
徳山港でフェリーから下りる旅人たち

つづく

2019年6月14日金曜日

BRM511広島600km Around Yamaguchi その7 いよいよ山岳編

5月12日午前6時半。
出発から387キロ(Edge520調べ)地点。
萩のジョイフルにピットインしたわしら。
スタッフさん、朝早くから失礼しますね。
24時間働いてくれて本当にありがとうございます。
ブルべ中のジョイフルは神


口当たりのよい、おかゆ系のものを食べたい。
なので、これ。
世界よ、これが日本の朝食だ!


豚みぞれ朝食711円(税込み)。
豚のみぞれ煮はあっさりとして食べやすいし、温玉ごはんもイケる。
ドリンクバーもついていたので、コーヒーやら何やらも一緒に。


すっかり満足したよ。
なんだかとても眠いんだ・・
パトラッシュ・・・
・・・・
いかん、いかん、座ったままで彼岸を詣でていた。
ネロになるのはまだ早い。


起きたらえらく胸がドキドキしている。
ないですか、みなさんそんなこと。
ともかく重い体を引き上げて、トイレを済ます。
しっかり45分休んだので、時刻は7時15分ごろに。
腹も太ったし行きますか


再び東へ走りだす。
しっかり補給したので、先刻までより足が回る。
時速20キロがやっとだったのが、25キロ程度まで上がる。
きょうも晴天。
朝日を正面に見ながら走る。
394キロ地点を過ぎる。
なんやかんやで4キロぐらい余計に走っているので、コース上では390キロぐらい。
時速15キロで走ったとすると390÷15=26時間かかる計算だ。
で、出発は午前7時だったから26時間+7-24=は9。
つまり午前9時が締め切り時間。
現在の時刻は7時半。
ということは貯金が1時間半しかない。
ありゃあ、ずいぶん浪費してしまった。
一時は約3時間あったのに。


そんなことをぼやけた頭で考えながら、左手に日本海を眺めながら走る。
岩だらけの海岸だが、海水は透き通っていて、海底の岩がくっきりと見える。
日本海ブルーとでもいうのか、瀬戸内海とは違う独特の青みだ。
穏やかな海面を見ていると、心が休まる気がする。
体はずっと動いているままだけど。


阿武町に入る。
道の駅阿武でトイレ休憩とドリンク補給。
昼間はにぎわう人気の道の駅だけど、まだ8時前だから静かなものだ。


10分ほどで出発。
自転車で日本一周でもしているのかな。
道の駅で休んでいたと思しき、後輪に大きなバニヤバッグを付けた若いサイクリストがついてきた。
が、会話を交わすこともなく、小さな丘でわしらが先行。
以降は見かけなかった。


阿武から須佐へ。
道は海岸沿いからやや内陸に入る。
細かなアップダウンがあり、時折トンネルも現れる。
この辺りはあまり走りやすくない。
しばし我慢の時間だ。


須佐はかつてミコトイカを食べに来た思い出の地。
店の前を通ったが、午前9時前だから当然開いていない。
ブルべをやっていると、飲食店の営業時間が24時間のうちでわずかとということに気づかされてしまう。
だからこそ尊いのだよ。ジョイフルが。


須佐からまた内陸部に入る。
田園地帯を行く。
田万川町に入る。
この界隈、実にトラックが多い。
長門と萩の間は山陰道ができているのだが、この辺りはまだまだだしね。


川を渡る。
左手に道の駅やらなんやらが集積している。
しかしわれわれの当面の目的地、PC3は右手にある。
道路を渡って滑り込む。


午前9時14分、425キロ地点、PC3のローソン・ポプラたまがわ店に到着した。
11時20分締め切りなので、貯金は約2時間に回復。
萩以降の平坦で若干盛り返せたらしい。
いってらっしゃーい!


わしらが着いた時、ちょうどノダカナが出発するところだった。
まだまだ元気そうな彼女。やるなあ。
PCでモリリンのサポートを受けて、復活したところだったようだ。


これから中国山地の山越え。
わしらもそれなりに補給しないと。
ざるそばいただきます


ざるそばをいただく。
まだ朝だけど、次第に気温が上がってきたので、さっぱりした食事がいい。
きょうはレッグカバー外さないよ(撮影・AJ広島のゆかいな一味)

ケーキさんはモリリンのサポート車の荷室で横になっている。
ちょっとしたことだけど、それで体が休まる。
わしはトイレにこもって軽量化成功!
山岳を前に、身も心も若干軽くなった。
頭の中も軽い二人(撮影・AJ広島のゆかいな一味)


25分ほど休んだ。
出発!


ここからは南へ。
川沿いをさかのぼっていく。
昨日に引き続き日差しは強い。
次第に暑くなってきた。


田植えが終わったばかりの田園地帯。
道端に止まって、アンダーをメリノウールからジオラインに着替える。
道が次第に斜度を増す。
坂の途中で山口県から島根県益田市に入る。


かつて益田に赴任していたケーキさんをもってしても初見の道とか。
次第に高度をあげていく。
道は2車線としっかり広いので、日当たりがやたらいい。
つまり暑い。
日陰がもっとあってもいいのに。


ねえ、なんでわしらは坂を上るの。
別に坂なんて上る必要ないんじゃないの?
脳内をそんな思考が、小野田坂道くんばりのハイケイデンスで駆け巡る。


山は深くなっているが、坂は終わらない。
山肌に集落がある。
斜面に動物除けの柵を要塞のように張り巡らせている。
イノシシ除けかシカ除けか。
人と自然のせめぎあいがある。


いよいよ道は狭くなり、坂はきつくなる。
片側は深い谷。
緑陰に囲まれた涼しい道なのだけど、斜度はきつい。
10%ぐらいあるんじゃないの?
Edgeを見る。
な!斜度30%だか50%だかとんでもない数字が表示されている。
なんぼなんでもそれはないでしょう。
君も登坂に嫌気がさしたのか。
多分きっとそうに違いない。
つけててよかった34T


谷を隔てたところに道がある。
農道か?
もっと広いちゃんとした道のようだ。
あ、別にこっちの道通らなくてもいいんじゃないの。
そんな疑問がまたもハイケイデンスで脳内を駆け巡る。


脳内でぼやきながらじわじわと上りきる。
はぁ。
なんか広いとこに出た。
おお、そろそろか

向こうにトンネルの入り口が見える。
おおお、どうやらピークらしい。
白杭トンネル到着


標高334メートル、白杭トンネルを通過する。
これで山岳第一陣をクリア。
あとは通過チェックのある津和野まで下り基調だし、楽ちん。
と、思ってました。その時は。


下り基調ということは、足を休める時間が多いということ。
運動強度が下がるということ。
となると人はどうなるかというと、これが眠たくなるのだ。
刺激の少ない津和野への田舎道。
あああ、また睡魔が、スイマーが迫ってきたたたたたた。


寝落ちする前に休まなくては。
バス停を発見。
ケーキさんと座り込む。
一瞬であちらの世界へ移行する。
この状況下だと横にならなくても、たやすく眠りに落ちる。
バスの時間は調べましたよ


10分以内に意識を取り戻し再び走りだす。
忍耐の時間。
下り基調という言葉にだまされてはいけない。
下り基調は詐欺だ。
下り基調詐欺だ。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
耐えることしばし。


ようやく津和野の町に入った。
下り基調の約20キロを1時間もかかってしまった。
午前11時50分ごろ、460キロ地点、通過チェックのローソンポプラ津和野店に到着したのだった。

つづく