2016年9月25日日曜日

BRM902岩国600キロ その12


4日午前4時前。
道の駅かきのきむらを出発したわしたち。
次のPC4六日市までの距離は17キロ。
クローズ時間は午前5時36分。


国道187号を高津川沿いをさかのぼる平坦基調のコースだ。
ガチオ君が「ここでタイムを稼ぎたいですね」という。
異論はない。
時速20~25キロのいいペースで快走する。
450キロ以上を走った脚だ。
それを思えば上出来じゃないか。
道路は真っ暗だが、道幅は広いし、車はおらんし、極めて走りやすい。
日中なら高津川の清流の眺めを楽しめながら走れるが、全く見えない。


ガチオ君の安定した引きのもと、淡々とペダルを回していく。
途中、ちっちゃな丘越えがある。
ガチオ君といったん離れるが再び合流する。


ガチオ君がふらついてきた。
速度が落ちる。
眠気だろう。
代わりに前へ出て引く。
さんざん引いてもらっている。
できるときは、少しでも恩返ししないと。
ガチオ君のフロントライトが時々、消えている。
接触不良なのかな。
すぐ点くので、走行に支障はないようだが。


雨がぱらついてきた。
雨具の上着は着ていたが、今は止まりたくない。
七日市の街を過ぎる。
この街は高津川と支流の高尻川との出合いにある。
渓流釣りを(以下略)


腹が減ったので、走りながら補給食を食べる。
雨がだんだん強くなってきた。
早く着きたい。


案内看板が出た。
家の灯りが見えた。
六日市の街だ。
交差点を右折する。
中国道をくぐる。
右手にローソンが見えた。
PC4だ。
午前4時52分、473.8キロ地点。
PC4のローソン六日市インター店に到着した。
クローズの5時36分まで残り時間がわずか44分だった。
柿木村での貯金が30分だったから、ここで若干稼げた計算だ。


ドリンク2本とレンジで温めて調理する酸辣湯麺を購入する。
時間ないのに、温かいものが食べたかったのよ。
スっパ辛くて体に火が入る。

ただ全部は食べれそうにないので、ガチオ君にも食べてもらう。
「温まる~」って喜んでいただいて何よりです。
でもここで炭水化物系を摂らなかったのが失策だった。
無理してでもおにぎり食べないとあかんなあ。
この後、若干エネルギー切れになったから。
抜け殻ナウ


雨は降りやまない。
雨具を上下着こむ。
シューズカバーも着ける。
フル装備だ。

着替え完了


20分ほど休んで出発する。
午前5時10分。
雨だが、空は青みがかってきた。
長かった夜が明けようとしている。


広島県民大好きの山賊がある傍示峠まではゆるい上りだ。
3キロちょっと走ったら、島根県から山口県に入る。
山賊錦店だ。
早朝なので、もちろん閉まっていて真っ暗だが。
わしとガチオ君はここで一服。
徳地から一緒に走ってきた二人は「先行します」とのことで、ここでお別れした。
5分ほど休んで、わしらも錦町へのダウンヒルを始める。


幸い雨は止んできた。
だが路面はウエット。
カーブもきついし、慎重に下りる。
いくつかあるトンネル。
日中はトンネル内外の明暗差があり、怖いのだけど、この時間は関係ない。
順調に下って、錦町へ。
下っているうちに周囲はすっかり明るくなってきた。
けわしい山腹に山霧がかかり、山水画のような風情のある風景だ。


道の駅ピュアラインにしきを右手に、錦川沿いの国道187号を走っていく。
しばらく走って国道434号方面へ右折し、錦川にかかる橋を渡る。





ここからは錦川本流に沿って、菅野ダムまで上り基調の道が続く。
早朝の広瀬の集落を通り過ぎる。
高校の体育館入口には早くも学生の姿が。
まだ6時前なのに。朝練待ちか。熱心だな。


広瀬の集落を過ぎると、結構な上り坂が現れた。
錦川で建設中の平瀬ダムを迂回するため、国道が付け替えられているのだ。
こりゃ追いつけん。
ガチオ君には先に行ってもらう。
一人淡々とペダルを回し、上っていく。
そこそこな高さまで上がると、道はほぼ平坦基調になる。
ダム建設の進む谷を眼下に見ながら、進んでいく。
トンネルを抜け、橋を渡る。
ん、eTrexが変な道を示している。
どうやら吊り橋を対岸に渡り、右岸の旧道を走れと示している。
だが、橋の看板には渡った先は通行止めとある。
いったん新道をまっすぐ進む。
ちょっと行ったのだけど不安になって、また吊り橋まで戻る。
キューシートや対岸の風景をもう一度確認。
キューシートに橋を渡れという指示がなく、GPXデータが間違っているのだと結論付け、再び新道を進んだ。
5分は無駄にしただろうか。
ガチオ君が待っているのに。
申し訳ない。


EDGEとeTrexのトリップメーターが500キロを越えた。
まもなく、どっかの集落のバス停で待っているガチオ君発見!
お待たせしました。
ガチオ君、どうやらトイレを探していたが見つからなかったようだ。
周囲を見回すと、道の先にそれらしい風情の建物が。
行ってみることにする。
特産品販売所のようで、案の定トイレもある。
脚ではかなわないが、トイレ発見能力は若干わしの方が上回っていたようだ(^.^)


霧雨のような雨が降っているが、ここで雨具を脱ぐ、
自販機で飲料を補給する。
この先、上りが待っているはずだから。
10分ちょっと休んだ。


しばらく進むと、ガチオ君のサイコンでも走行距離が500キロを越えた。
「やりましたね」とねぎらいの言葉をもらう。
ありがとう。
あと100キロ。
4日午前7時。
ゴール締め切りまで残り7時間。
やれるのか、わし。

つづく

2016年9月24日土曜日

BRM902岩国600キロ その11

こんな感じで走っていたのでしょう。おそらく。


栃山トンネルを抜けると、道端に駐車場があった。
一息入れる4人。
草むらにキジ打ちに行ったり、補給食を取ったり、ダウンヒルに向けてジャケットを羽織ったり。
特に補給食は必須だった。
フルーツサンドだけじゃ足りなかったらしい。
kooさんに餞別でいただいたキャラメルもぺろぺろ。

ここから真夜中のダウンヒル。
あまり記憶にないけど、坂を下りたところにコンビニがあり、立ち寄った。
阿東町徳佐のローソン阿東徳佐店だったようだ。
何を買ったのか覚えていない。
だいたいレシートを取っておくのだけど、その余裕すらなかったのだろう。
ログを見ると、5分ちょっと滞在していたみたい。

国道9号を津和野方面に進む。
単調な道。
草木も眠る丑三つ時。
たいぎい。
疲れた。
眠い。
もう結構走ったよね。
十分走ったよね。
DNF!DNF!DNF!
魅惑の3文字が脳裏をぐるぐると駆け巡る。

脚に力が入らない。
がくんと速度が落ちる。
ガチオ君とほかの二人が前に遠ざかっていく。
離された。
DNFするなら、どっかで朝まで待って、山口線に乗る手もあるか。
山口駅まで自走して、そっから山口線っていう手もあるな。
ま、もう少し走るか。
抜け殻のようになって進む自転車ゾンビ。
と、前から一人引き返してきた。
「もう少し行くと道の駅があるので、そこで休みましょう」
是非もない。
9号を曲がり、ちょっとだけ上って道の駅に到着。
午前2時15分。
屋根があって、寝床にできそうな場所があったので横になる。
スイッチが切れた。
・・・・

アラームが鳴っている。止まった。
みんな起きる気配がない。
んんん、もうちょっといいよね。
また眠る。

またアラームが鳴った。
もっと休みたいけど、、、
起きよう。

みんなごそごそと準備を始める。
自販機で温かい缶コーヒーを飲む。
ふう。
わずかな睡眠だったけど、だいぶスッキリした。
走る気力がちょぴり湧いてきた。

午前2時42分、再び走り出した。
長く休んだつもりだったけど、30分止まっていなかったのか。

トンネルを抜け、津和野の街へのダウンヒルに入る。
遠くに街の明かりが見える。
みんな速いな。
ライトアップされた大鳥居が見えた。
本来なら津和野の街まで下りるのだが、コース変更のため、この大鳥居で折り返し、県道226号へ上り始める。

今回の上りは唐人屋(からとや)トンネルまで。
キューシートに加えたデータによると、山頂付近の標高は570メートル。
標高250メートル付近から上がるから標高差は約320メートル。
上る距離は約7キロ。
いつもトレーニングで上る不明峠が延長4キロ、標高差300メートル。
不明峠はゆっくりめで25分ぐらいで上れるから、大目に見ても30~40分もあれば上れるでしょう。
なんかそう考えるとすごく気が楽になった。
不明峠の1、2個分っていう基準が自分の中にできたからだ。
大原湖からの上りはイメージが全くできていなかった。
暗い山道を4人で上っていく。
ガチオ君が先行し、わしら3人が付いていく。

気持ち的にはやや楽になったが、体はしんどい。
途中、右折してからは勾配がきつくなり、速度が上がらない。
一桁台でのろのろと這っていく。
ったく、深夜に走るような道じゃないよ。
ただ心に支えがあるのは強い。
休んで、体力と気力が回復できたのか。

トンネルが見えた。
しんどいけど上りきった。
ようやったぞ、わし。


トンネルの出口でみなさんが待っていてくれていた。
お待たせです。
結局、大鳥居から40分ぐらいかかった。
時刻は午前3時半。

ここからは柿木村に向けてのダウンヒルだ。
ガチオ君によると、相当きつい坂が続くという。
意を決して走り出した。

確かに坂がきつい。
そして長い。
途中、ループ橋もある。
そこをガチオ君は快調に飛ばしていく。
とても追いつけるものではない。
6キロほどきつい坂が続いた。
左折する。
福川川沿いの道だ。
よく渓流釣りに通った川だ。
道が緩やかになる。
前を行くガチオ君に追いついた。
4人パックになって走っていく。
次第に家の灯りが増えてきた。
456キロ地点、吉賀町柿木村の交差点だ。
ここを右折すればオンコースだが、左折し、道の駅かきのきむらに滑り込む。
ふうう。

時刻は午前3時52分。
この地点での仮想閉門時間が午前4時24分だから貯金は30分しかない。
次のPC4までの距離は17キロ。
クローズ時間は午前5時36分。
たぶん1時間以内には到着するとは思うけど、やばいなあ。
休みたいのをぐっと我慢。
トイレと飲料補給だけ済ませ、再び路上に飛び出したのだった。

つづく

2016年9月22日木曜日

BRM902岩国600キロ その10

3日午後10時55分、401キロ地点のPC3ローソン徳地堀店に到着した。
ほぼ400キロを24時間55分で走り切ったことになる。
前回のBRM702岩国400の認定タイムが25時間42分だったので、それよりもいいペースで走っている。
走っているときはそんなこと考える余裕もなかったけど。
ここから先は600キロへ、未知への領域に足を踏み入れる。
気が引き締まる。

クローズ時刻が4日午前0時48分なので、貯金は2時間弱ということになる。
ただこの先が本格的な山岳地帯だ。
しかも真夜中。
坂や眠気と戦いながら、この貯金を守り切れるのか。
フルーツサンドいただきます!

フルーツサンドを食べて、エネルギーチャージする。
25分ほど休んだ。
400K走って、ほぼ売り切れの脚。

この後は大原湖から津和野へと上がる山道。
ここで休んでいた二人と一緒に走る話がまとまったようだ。
暗い夜道。みんなで走った方が明るいか。

午後11時15分、PC3を出る。
方向を見失って、どっちへ出ればいいのか分からなくなる。
なんとか国道489号を正しい方向へ走り出す。
何人かいると安心だね。
しかし補給をすませ、お腹が太ったためか眠くなってきた。
ガチオ君と相談して、休める場所を探す。
寝起きに温かい飲み物が飲める自販機があるのが条件だ。
7キロほど走った集落に、体育館らしき建物が見えた。
奥には高いネットに囲まれたグラウンドもある。
幸い、暖かい飲み物を売る自販機もあった。
体育館の横にはベンチも。
これはいい場所。
ベンチにあおむけになって眠る。
20分ほど眠ったのかな。
コーヒーを飲んで、走り出した。

気温は20度前後。
標高が低いせいもあるが、昨夜よりも暖かいのが助かる。
日付は変わって、4日午前0時6分。
あ、この先極端に写真が少なくなります。
真っ暗だし、写真撮っても何も写らないし、何より心に余裕がない。

上りが始まった。
いったん丘を越えて下る。
そして再び上り始める。
坂ではガチオ君が早いわ。
このあたりから雨がぱらつき始めた
わしとほかの二人の3人でゆるゆると上っていく。
トンネルがある。
どこかへ続く扉なのか。
ガチオ君と合流する。

右手に暗く沈むダム湖。
2車線の道路は、間もなく1車線半の狭い道路に。
雨は止まない。
こんな感じで走っていました。

しかし道が狭くなったために、木々の枝が張り出しが雨を防いでくれる。
これなら雨具は着なくても走れる。
ほぼ平坦のゆるやかな上り。
これなら4人で走れる。
しばらく進むと、雨が止んできた。

だらだらとした同じような風景が続く。
キャンプ場を過ぎる。
土曜日だったけど誰か宿泊していたのかな?
雨が続くようだったら、ここで雨具を着ようかと思っていたけど、その必要もなさそうだ。
右手にせせらぎの音を聞きながら、山奥へと進む。

道が左右に分かれている。
ガチオ君は右に行こうとしている。
道が細くて分かりにくいが、eTrexは右に行けと示しているようだ。
でも看板には津和野、地福はまっすぐって案内してある。
どっちなんだ?
ガチオ君を呼び止め、「この道で大丈夫かなあ」と尋ねる。
一緒に走っていた二人が「右で大丈夫」と太鼓判を押してくれたので、安心して進む。
どうやら疲れてきたのか、わしの判断力が鈍ってきたようだ。

後で聞いたところによると、チンクのお二人がここでミスコースして時間を大幅にロスしてしまったらしい。
やっぱ分かりにくいよねえ。

良かった。ミスコースせんで。
先に進む。

真っ暗な田舎道。
だらだらとしたゆるい上り坂が続く。
左折すると、本格的な上りが始まった。
だがこの辺、実はよく覚えていない。
きついということしか覚えていない。
この坂がどのくらい続くのか。
どれくらいの斜度なのか。
全く分からずに上ったので、余計にこたえた。

ログを見ると、先程の分岐点から約10キロ、標高差約200メートルを上ったようだけど。
やっぱり相手を知らないといけないな。
ピークの栃山トンネルを過ぎる。
野道峠というらしい。
トンネルを出たところで、ガチオ君と二人が待ってくれていた。

消耗した。
疲れた。
4日午前1時20分過ぎ。
ちょっと休んでいいですか。

つづく