2016年9月12日月曜日

BRM902岩国600キロ その4


午前1時前、わしとガチオ君はポプラ湯来店を出発した。
日付が変わったとはいえ、まだまだ元気だ。
湯来の伏谷の丘への坂を上っていく。


後ろからツネさんとケンセーさんも追いついてきた。
駐車場に1000円札の落し物があったので、持ち主を探されていたらしい。
「脚使った~~」としんどそう。
ご苦労さまでした。


伏谷の丘を越え、湯来の水内川沿いに下りる。
ここからは北方面へしばらく下り基調が続く。

深夜の田舎道。
夜空には星空が広がる。
静寂の中をガチオ列車は力強く、快調に駆け抜けていく。
昼間よりもいいペースだ。
見覚えのある鉄橋だ。
太田川の本流を渡り、左折する。


ここからは太田川沿いに国道191号を上っていく。
走りなれた道だ。不安はない。
加計バイパスを過ぎる。
この時間、鯛焼きのよしおが開いているわけもないので、街は通り過ぎる。
その代り、PC外だがセブンイレブン加計店に立ち寄る。


真夜中の中国山地越え。
ここが最後の補給地点になる。
時間は午前2時前だ。
わしはそろそろカツを入れたいので、カレーヌードルをいただく。
体が温まるなあ~~。うまい。

これで大佐山越えをする気力がチャージできた。
20分ほど休んだ。
さ、行きますか。


温井ダムへのだらだら坂を上り始める、わしとガチオ君。
道路わきに、先にコンビニを出たツネさん、ケンセーさんが停車していた。
大事ないようなのでパスしてそのまま進んだ。
しかし今回のブルべで、これが我々が二人を見た最後になってしまうとは・・・。


空気が冷えてきた。
ガーミンさんによると13度程度まで下がっている。
筋肉が多く、皮下脂肪の少ないガチオ君は先刻から寒さを訴えている。
すでにベストを着こんで走っている。
皮下脂肪の多いわしはそこまで寒さを感じない。
常に動き続けているしね。
脂肪に感謝。


じわじわと高度を上げる。
トンネルの多い温井ダム周辺を過ぎる。
いったん渓流沿いまで下って、王泊ダムへの上りが始まる。
覆道が多いが、覆道の中はライトで照らされているので走りやすい。


この辺りでは、どうやらほかの参加者と一緒に上っていたらしい。
覚えていないのだが、写真に写っているよね(^_^;)

わしの記憶力も怪しいものだ。
淡々と進む。
ようやくピークのトンネルが見えた。

ともかくトンネルを抜けた。
王泊ダムだ。


午前3時過ぎだ。
息を整え、吊り橋を渡る。
湖畔の道を行く。
空には星がきらめいている。
あれはオリオン座だ。
この時間になると見えるのだな。


湖畔から高原地帯へと道は続く。
ここでガチオ君のペースががくんと落ちてきた。
わしは普通に走っているのに、追いついてこない。
どうやら眠気が我慢できないらしい。
時折、止まって待つ。
どこか休めるところはないのか。
せめて、屋根のあるところ。
もう少し進めば、芸北支所の前にバスの待合室があり、そこで休める。
8月の浜田ライドの時に確認した。
しかしガチオ君は少しでも早く休みたいようだ。
左手に集会所がある。
そこの軒先なら大丈夫そうだ。
膝を抱えてうずくまるガチオ君。
わしはまだ眠気は我慢できるので、もう少し進み、バス待合室を目指す。
後で会おう!


15分ほど走り、右手にバス待合室を発見した。
ふう。ひとまず休憩だ。
木のベンチがあり、座布団が敷いてある。

これはいい。
最高のホテルだ。
午前3時40分。
ひと休みしよう。
タイマーを仕掛けて休みについた。

つづく。

2016年9月11日日曜日

BRM902岩国600キロ その3


600キロの旅が始まった。
しかし考えてみればとんでもない距離だよね。600キロって。
7月に走った400キロも、もう限界と思った。
手やら尻やら足首やら痛くなったしね。
それよりさらに200キロ走るのだ。
もう想像を絶する。

測ってみたら広島から静岡まで行けるし。
広島から鹿児島の佐多岬まで行けるし。
自動車に乗っても疲れる距離なのに。
何を好き好んで自転車で。
ほんととんでもない距離だ。
まあ、1000とかPBPの1200とか、その上の距離もあるので。
上には上がいるということか。

ただ今回の旅は600キロ経験者であるMCRのガチオ君がいる。
同じジャージを着た仲間がいることが、どれだけ心強いか。
わしはそれを今からそれを実感することになる。

国道188号を北上するわれらブルべトレイン。
出走早々、いいペースで進むガチオ君。
今年のBRM702岩国400や昨年のBRM725広島300を走り抜けたツネさんも出走していた。
ツネさんが「ガチオ君についていった方がよくない?」とおっしゃる。
ここは序盤の頑張りどころ?なのか。

ともかく、わしもガチオ君に一所懸命に付いていく。
岩国市由宇町から北上する。
正面に中電の火力発電所が見えてくる。

左折して、岩国南バイパスに進む。
快調なペースだ。
ただ出発するとき、リアライトを点灯するのを忘れていた。
信号ストップがなく、点灯するチャンスがない。
ツネさんもわざわざ教えてくれたのだが、「そうなんですよ」と大きく相槌を打つ始末。
途中、信号で止まってようやく点灯できた。ふう。
川西駅の近くを通り、錦川の橋を渡る。
左折して錦川をさかのぼる。

さすがにこの時間なので車は少なく、走りやすい。
右手に錦帯橋周辺の旅館街が見える。
左手には錦帯橋があるはずなのだが、闇の中に沈んで全く見えない。
みなも止まることなく突き進んでいく。

関戸トンネルへの坂にかかる。
ガチオ君はぐいぐいとダンシングで突き進んでいく。
わしはマイペースで行く。
まもなく姿が見えなくなる。
坂はそれぞれのペースで進んだ方が楽だ。

トンネルを抜ける。
小瀬川沿いを進む。
工事信号ストップでツネさんに合流する。

「ガチオ君にはついていけません」とおっしゃる。
確かにね~~。早いもんね~。
一緒に走ってきたケンセーさんと3人でとぼとぼと走り始める。

大竹市街地を抜け、お世話になっているウエキさんのそばを走る。
おお、途中でガチオ君が待ってくれていた。
すまんのう。

4人になった一行。
玖波から左折し、山の中へと上がっていく。
渡之瀬ダムへの本格的なヒルクライムの始まりだ。

台風の接近を感じさせる風が吹く(吹いていたような気がする)。
すまん。この辺、記憶があいまいだ。
間違った記述があっても、気にしないように(^-^;

先行するガチオ君を追って、上る3人。
わしみたいな貧脚と合わせてもらってすいません。
でも、先は長い。
無理することはない。

ようやく長い上りが終わる。
要所要所でガチオ君が待ってくれている。
すまんのう。ほんまに。
そしてありがとう。
追いついたときはせめて「お待たせ!」と元気よく言うようにする。
わずかなかりの感謝の気持ちだ。

ダム湖畔へ出る。
この辺は走ったことがあるので、コースに想像がつく。
これはありがたい。

佐伯町津田に出る。
交差点のセブンで休んでいるランドヌールがいる。
わしたちはそのまま進む。

まもなく左折し、芸南カントリーの上り坂へと向かう。
平地基調からだらだらとした上りになる。
このあたりでチンクのマスターモリリンと相棒のカタヤマーさんと一緒になる。
二人は速い。
ガチオ君と一緒にするすると上っていく。

わしは付いていけない。
ツネさん、ケンセーさんと上っていく。
ようやく芸南カントリーのピーク。
ここからは下りだ。

下り切ったところにPC1、59.2キロ地点にポプラ湯来店がある。
到着なり~~~。


午前0時41分。
時速22.1キロで進んだことになる。
上りをこなした割には快調といえる速度だろう。
PCの締め切りが午前1時57分だから1時間16分の貯金があることになる。
ムスビ2個、ソルティライチの379円を購入したわし。
ムスビをのどに突っ込むように食べる。
これが走り続けるエネルギーになるのだ。
はふ~~~。
補給を済ませると、出発だ。
ガチオ君行きますか!

つづく。

2016年9月8日木曜日

BRM902岩国600キロ その2

未体験の600キロの旅が始まる。
出発地点は岩国市由宇町のみなとオアシスゆう。
午後10時の出発を前に、まずブリーフィングがある。
台風の接近をものともせず集まった24人の物好きさんが並ぶ。


そうなのだ。
前日の1日、台風12号が九州の南海上で発生。
ブルべ期間中に西日本を直撃するという予報が出たのだ。
強風が予想されるため、角島大橋を渡らないように急きょコースが変更されたのだ。
予報を見て、今回出走予定だった相棒のケーキさんがDNSを決断。
無理と見たら退くのも大人の判断だ。
わしもDNSの方向で考えていた。
しかし一夜明けてみると、台風の脚が鈍り、ブルべ直撃は避けられそうな状況になってきた。
せっかく取った3連休。
そして600キロ挑戦のチャンス。
いくしかない。
出走を決めたのだった。





スタッフのカタヤマ氏、テラダ氏による丁寧なブリーフィング。
見知った顔が増えてきた。
わしもAJ広島のブルべにはもう3回も参加したもんな。


40時間後までに、この地に何人が戻ってこれるのか。
その中にわしは含まれているのか。
ひそやかな興奮。


そして、こんな時間なのにお馴染みKOOさんと息子君が見送りに来てくれた。
元気とキャラメルをもらいました。ありがとう!


今回、わしは二つの新兵器を投入した。
ブルべのために新兵器を買うのか、新兵器のためにブルべに出場するのか。
もはや手段と目的があいまいになっている気がするが。


一つ目はダウンチューブ下のボトルケージ。
エリートのVIPボトルケージクリップを使って増設した。






不器用なわしでも30分ぐらいで装着できたので、簡単だと思うぞ。
ただわしのウノさんだとフレームサイズが小さい。
OGKの普通サイズのツールボトルをつけたが、クリアランスがぎりぎりだった。
おかげでツール系はここに集約でき、サドルバッグの荷物スペースをずいぶん稼げた。


で、もう一つの新兵器はグローブなのだった。


スペシャライズドのボディージオメトリーゲルグローブ4860円(税込)である。
手のひらにゲルパッドがこれでもかといわんばかりに、てんこ盛りになっている。
厚みはご覧のように3~4ミリはあるだろうか。


このパッドのおかげで荷重が手のひらに伝わりにくくなっているのだ。
ハンドルを握ると手のひらの間に何かが挟まっている感がありありなので、ダイレクトな操作感や感触を求める方には全くおすすめできない。

BRM702岩国では初の400キロを体験した。
300キロではなかったが、左手の小指や薬指のしびれた。
当分良くならなかった。
最近ようやく感触が戻ってきたくらいだ。


今回、600キロ走ってみて、グローブの効果を実感できた。
いや、いいですわ。これ。
走る前にもまだ若干しびれが残っていたのだが、走った後でもその状態はほとんど変わらない。
ということは今回ほとんど、手へのダメージがなかったということになる。
超長距離ライド後の手のしびれでお悩みのあなた。
合うかどうか分かりませんが、一度試してみては。


スタート地点に移動する。
サイコンをスタートさせる。
道案内を担当するeTex20とログ管理のEDGE520Jの二つなので、結構手間取ってあせる。
設定変更があったので、もっと早いうちに済ませておくべきだった。
あたふたしていると「10時になりましたので出発しまーす」との声が。
あわわわ。
公園出口はすでに閉まっていたので、脇の歩行者用ゲートから出て、国道188号に乗り出す。
北へ。ペダルを回す。
さあ、40時間600キロの旅の始まりだ。

つづく

2016年9月6日火曜日

BRM902岩国600キロ その1

ちょっとBRM902岩国600Km、完走してきました。

認定時間はリミット40時間ぎりぎりの39時間22分。
600キロを目いっぱい遊び倒してきた。
完走後のノンアル、最高にうまかったなあ。

9月2日22時、岩国市由宇町の、みなとオアシスゆうを出発。
4日の14時までに由宇に戻ってくるという603キロの旅だ。

台風12号接近のニュースにビビりながら夜のビーチを出走した。

今回の旅の相棒は、わがMCRの誇る超人ガチオ君だ。
あの厳しいコースで有名なみやじまトライアスロンを完走するガチのトライアスリートである。

お腹は驚異のシックスパック、上半身も下半身もガチムチで、お前は本当に会社員か!って言いたくなるたくましさなのだ。
ブルべでも、AJ広島主催のしまなみ600キロ(2014年)、AJ岡山主催の中国山地600キロ(2016年)を制覇しているつわものだ。

一方のわしは今年初めて400キロを認定されたばかり。
600キロは初挑戦であった。

ガチオ君の背中を追いかけながら走った40時間。
DNFの3文字が脳内を駆け巡ったこともあった。

でも走り切れた。
一人では無理だった。
ガチオ君、本当にありがとう。

というわけで、次回からつらつらと旅の足跡を書き残してみようと思う。
どうか600キロのしちめんどくさい旅にお付き合いを。

みなさま、どうぞよろしくお願いします。

つづく。