愛媛県松山市の道後温泉の坊ちゃんからくり時計前。
24日午前8時に呉市を出発してから609キロ(ガーミンでは612キロ)。
39時間5分の旅が終わった。
先着したK代表が迎えてくれた。
「ランタンルージュです。お疲れ様」
ランタンルージュとはフランス語で赤いライトのこと。
転じてツールの最下位ゴールの選手を示す。
だが、完走しなくては最下位になれない。
走り切った人間だけが受け取れる「名誉」だ。
ここは誇っていい。
元気そうだな。K代表 |
とはいうものの、一時3時間以上あった貯金は派手に食いつぶしてしまって、結局、40時間の制限時間に対し55分を余すだけ。
結局、AJ広島ギリギリ隊としての務めをまたもや全うしてまった。
と思っていたら某氏から「使わなければ貯金じゃない」という名言をいただいた。
制限時間いっぱい楽しんだ(苦しんだ)のだから、よしとしよう。
そして今回の600キロの完走で、2020年のSRが決定。
これで2年連続だ。
コロナ禍の年という厳しい条件下だったが、200、400を2本、600でなんとかやり切った。えらいぞワシ。
さて、ちなみにK代表は午後8時過ぎのゴールとか。
これから三津浜港に向かって、柳井行きのフェリーに乗って帰るという。
まじかよ。元気だなオイ。
一息ついたので、例の拾ったゴアジャケットを手渡し、別れを告げる。
無事、持ち主が現れたそうです。
お役に立ててよかった。
ブルべ中にブルベエさんの落とし物拾ったの3度目じゃわ。
50代半ばのわしはK代表ほど元気でないので、もちろん宿泊。
道後温泉のホテルに予約しているのだが、自家温泉の営業が午後12時まで。
これは急がないと。
坊ちゃん時計を離れ、丘を上る。
ホテル発見。
フロントに自転車を預ける。
風呂なしの部屋だと、自転車持ち込みOKだそう。
だが、今回は間に合わなかった時を想定してバストイレ付きにしたので。
ま、結局滑り込みセーフだったのだけど。
事前にホテルあてに送っていたドロップバッグを受け取って部屋へ。
部屋はツインの畳スペース付きだ。
GoToの恩恵。これで5000円は安い。
浴衣に着替えて、香ばしいウエア類を袋詰めする。
たちまち大浴場へ。
天井が高く、広々とした贅沢な造りだ。
道後温泉の香りを楽しみながら、湯舟に体を浮かせる。
気持ちいい。600キロを頑張ったご褒美だ。
サドルで擦れたお尻にちょっとしみるけど。
なんとか20分ほどゆっくりできた。
部屋に帰って、勝利のビールをあおる。うまい。
午前0時半には就寝した。
zzzz
体がホテルじゃない火照る(タイトル回収)。
眠りが浅い。
疲れているのに。
体はまだ走り続けているのだ。
しばらく、うとうととして結局6時前には起床した。
朝風呂に向かう。
月曜の朝なので人は少ない。
浴槽のふちに寝転んでリラックスする。
温泉成分が痛めた右足のアキレス腱にしみ込んでくれたらいいのに。
風呂を出る。
松山の街並みを眺める場所にマッサージチェアが並んでいる。
マッサージチェアに体をあずける。
600キロのライドでこわばった体がほぐれていく。
むっちゃ気持ちいい。
これは天国だ。
あっという間に時間が過ぎる。
レストランで朝食の鯛めしむすび弁当を受け取る。
「密」回避対策だ。
部屋に帰っていただく。
もう一泊のんびりしたいぐらいだが、午前10時のチェックアウトは近づいてくる。
しょうがないので荷物をまとめる。
フロントで自転車を返してもらって、再び走りだす。
明るくなって見た坊ちゃん時計 |
右足が昨日より痛い。
昨日はアドレナリン出ていたのだろうな~。
のろのろと走って、松山の市街地方面へ。
念願の「周平」 |
「周平」でラーメンをいただく。
これまで何回か松山は来ていたけど、日曜日は開いていないので、ずっと来たかったんだ。
広島の「周一」では食べられなくなったからね。
ただ疲れで味覚がおかしくなっていたのか、若干だしが薄く感じたのだった。
ともかく完食。
食後に同じブルベに参加した、ちゃけのびさんと遭遇した。
「松山はつけ麺もうまいよ」という、わしのツイートを読んで、同じ店を探し当てたらしい。
しばし歓談してお別れ。
SNSの時代だなぁ。
いったん忘れ物を引き取りにホテルに戻ったら、今度は駐輪スタンドにヘルメットをぶら下げて忘れてしまい、もう1回取りに戻った。
やっぱ疲れて注意散漫になっていたのかな。
のろのろと松山観光港へ向かう。
港へ向かう |
足が痛いので、ストップ&ゴーがほんまにつらかった。
13時半過ぎに観光港に到着。
サイクルーズパスをつくると自転車の輸送代が無料になり、呉まで片道3000円で帰れる。
港のロビーでお土産を購入し、午後2時15分発の新造船シーパセオに乗りこんだ。
シーパセオが到着 |
船内はモダンでゆったりとした造りだ。
トイレも現代水準。
一番上の展望デッキを効果的に使っていて、特別感を演出していた。
売店やカフェスペースも充実している。
わしはフェリーで定番のカーペット席にスタンバイ。
ここで昼寝 |
しばし午睡を楽しんだのだった。
午後4時前に音戸の瀬戸を通過。
ちょ、陸が近い。
すぐそこに建物 |
そして橋桁 |
音頭大橋が頭上を過ぎると、音戸渡船が。
音戸の渡船 |
フェリーが瀬戸を抜けるとともに対岸へ向かっていった。
そして右手に広がる、赤茶けた巨大な建物群。
日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区である。
わしらには日新製鋼呉製鉄所のほうが通りがいいが。
この鉄を産みだす巨大な施設群が閉鎖されるとは、本当に信じられない。
午後4時、呉港に到着。
本通りのコインパーキングに向かう。
土曜日の朝から月曜日の夕方まで駐車して、料金は3200円だった。
広島呉道路、南道路を乗り継いで、午後5時半には無事帰宅できた。
というところで、今回の旅はおしまい。
非常にしんどいが、いい旅だった。
右足を痛めたのが誤算だったなあ。
これがなければ、もっと楽だったろう。
楽なブルベはない、ってことを実感させてくれた600キロだった。
厳しい時期だったが、走れてよかった。
AJ広島のみなさんに感謝を。
そして道中、一緒に走ってくれたり、励ましあったりした仲間たちにも感謝を。
ありがとう。ほんまにありがとう。
今年も困難な状況は続いている。
それでも前を向いて足を回そう。
走り続けよう。
明けない夜はないから。
さあ、次はどこへ走ろうか。
おわり。
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