2017年5月18日木曜日

BRM503広島 須波・太平洋600キロ その4


四国に上陸したわしたち。
さて、何が待ち受けるのだろう。
今治は結構風が強い。
道路に渡してある紅白幕がめくれ上がっている。

左手の神社があり、紅白幕で囲ってある。
お祭りでもあるのかな。
と、思っていたら子ども神輿がやってきた。
わしも長男が小学生の時に一緒について歩いていたなあと一瞬思い出したよ。


今治の街中を過ぎる。
時間は昼前。

道端で見たラーメン屋に「焼豚玉子飯」ののぼりが。
そうだよ、今治は焼豚玉子飯もB級グルメとして名物なんだったよ。
ケーキさんに「寄る?」と聞くけど、「先に進みましょう」とのこと。
まあ、グルメライドに来たわけじゃないしね。


郊外のバイパスらしき広い道を西条方面へ向かって南進する。
郊外型の焼肉店からいい匂いが漂ってくる。
ケーキさんが「さっきの店寄れば良かったっすね」とポツリ。
まあね。でも戻る訳にいかないしね。
淡々と走る。
振り返ると、いつの間にか後ろに何人かが付いていた。
西条へ。


徒歩の旅人がいる。
お遍路さんかな。
ああ、ここは確かに四国だ。


ふと、視界に魅力的な文字が飛び込んできた。
「うどん」
派手な宣伝看板じゃないよ。


さりげないでしょ。
でも、この看板が呼んだんだ。
意を決して、脚をゆるめる。
後続に声をかけ、道端に寄る。
歩道を通って戻ると、幹線道から数軒奥まったところに、うどん屋さんがあった。


庭先の車庫に手を入れて、作ったようなプリミティブ感あふれる店舗である。
なのに結構、人が多い。

自転車を溝に停めて、うどんを注文する。
夫婦二人だけで切り盛りしているようで手際が今一つで、若干待たされたけど、おいしいうどんだった。
お出しの塩分が体に染みいる。
むすびを付けて450円ならOKでしょ~~。


ちょっと時間はかかったけど、大満足。
再び走り出す。
寄り道が多いから、時間はかかっているな。
まあ、なんとかなるでしょう。


西条が近づいてきた。
道すがら、飲食店らしき建物をよく見る。
しかし、残念なことにどれも閉店している。
ロードサイドの飲食店が流行らない土地柄なのでしょうか。


後方から3人組のランドヌールが追いついてきた。
おや?オカさんたちじゃありませんか。
この後、しばらくPC1まで一緒に走ったのだった。


西条が近づくにつれ、進行方向右手に大きな山塊が見えてくる。
幾重にも重なり、屏風のようにそそり立っている。

おお、これが四国の山々か。
石鎚の山塊か。
なだらかな中国山地とは違うなあ。
山頂付近は雲がかかっていて、少しけぶって見えにくい。
わしたちは、あそこへ分け入っていくのね。


もうすぐこどもの日。
支柱を2本使った大きなこいのぼりが風に泳ぐ。


石鎚神社の大きな鳥居が。
石鎚山をご神体とする神社なのね。


そして131キロ地点のPC1、ファミリーマート西城加茂川店に到着した。
午後1時49分。締め切りの午後3時48分まで約2時間の貯金ができた。
わしら貧脚コンビからすれば、まずまずではないかい。
これから山岳地帯。
貯金は食いつぶしそうな予感は濃厚なのだが。


そういえばこの日の道すがら、警察車両をよく見かけた。
PCで休憩中にもパトロールの警察官がやってきたな。
「職質されるんじゃないの」って軽口をたたいていたのだが、後にこの日、今治で殺人事件があったことを知った。
なるほどね、納得がいった。
緊急配備が敷かれていたのね。


スイーツを食べて、すっぱいドリンクを飲んで、準備OK。
さあ、四国の山へむかうぞ。


川沿いの道を上流へ向かって、進む。
道はまずまず広い。
そして寒風山トンネルへの残り距離が記されたブルーラインが路肩に引いてある。
ブルーライン、愛媛県内では結構引いてある。

これが自転車乗りには実にうれしい。
「ここは自転車が通っていいんですよ」と行政が積極的にオーソライズしてくれているからだ。
実際には、路肩が荒れていたり、狭かったりで快適でないことも、ままあるののだが、それよりも心意気がうれしいじゃありませんか。
自転車を歓迎してくれている気持ちが伝わってくるのだ。


トンネルまでは約20キロあるらしい。
じわじわとした上り。
じわじわと高度を上げていく。
長いな。
谷は深い。
見上げると、そこに家があったりする。
淡々と回す。
なかなか終わりは見えない。

トンネルだ。
いつになったら寒風山トンネルに着くのやら。


GWだからかな。道中、実にバイクの集団が多かった。
ボボボボと太い排気音を響かせて、抜き去ってくれる。
が、トンネルではその排気音が反響して、凄いことになる。
ゴゴゴワーーーー、って感じか。
メットで耳を覆っていない自転車乗りには音の暴力とも感じる。
ま、向こうもわしらのことを邪魔に思っているのかもしれないけど。
でも。でも。でもね。


この上りで出会った1台のバイクは違った。
ひいこら上っているわしたちに、力強く右手を延ばし、親指を天に上げるサムアップのポーズを示してくれたのだ。
なんか、自転車とかバイクとかの垣根を越えて、うれしかった。
「頑張れよ」。声は聞こえないけど、力強く励ましてもらった。
バイク乗り、捨てたもんじゃないね。
わしは感動したよ。
午後3時。
午後2時ごろから上り始めたわけだから、かれこれ1時間ずっと上っている。
いい加減飽きてきたわ。


ちょっと休みますか。
ケーキさんの表情も明るくなる。
ふと右を見ると、なんと水場が。
これはラッキー。
寄るしかないでしょう!


ホースから湧き水がほとばしっている。
これは素晴らしい。
頭からかぶるケーキさん。
どうやら水温が冷た過ぎて、頭が冷えたらしい。
真夏ならともかく、まだ初夏手前だしね。


でもリフレッシュできた。
山の水はやはりうまい。
思わず上ってきたランドヌールさんを呼び止めてしまったし(^-^;


リフレッシュしたので、さあ行きましょう。
この辺、ご一緒していたのが前のランドヌールさん。
ほぼ同じペースで上っていた。



見上げると、新緑のパッチワーク。
美しいな。


ケーキさんも頑張って上っている。
そして午後3時半ごろ。
ようやく寒風山トンネルの入口に差し掛かった。
ようやく。



が、このトンネル。
長さが5432メートルもある。
5キロだお。5キロ。
結構寒い。
そしてトンネルの中でじわじわと上っているのである。
普通、トンネルはほぼ平坦になるように作りませんか。
まじですか。
実に我々の心を削ってくれる素敵仕様だ。


トンネルを心行くまで満喫すること約30分間。
ようやく出口だ。
出口の明かりだ。


寒風山トンネルを抜けた。
ガーミンによると標高685メートル。
愛媛県を抜けた。
高知県に入った。
ふう。


でもまだ先は長い。
コース図によると、ここから下りが続くはず。
しばらく下ると右手に道の駅「木の香」が。


156キロ地点。まだ先は長い。
ちょっと、寄って休みますか。
ケーキさんと合意し、休むことにする。
どうやら温泉があるらしいが、入っている余裕はない。
売店をチラ見したが、補給食によさそうなものもない。
なのでレストランに寄って、食事をすることに。
頼んだのは、きじラーメン。


これが単品で一杯1000円とそこそこいい値段だが、めっぽう美味かった。
きじのつみれもよかったし、塩だしのスープもよかった。
麺がプラスチッキーなざくざく系じゃないのが惜しまれるけど、おいしい一杯だった。
レストランの窓からは、先を急ぐランドヌールたちの姿が見えた。
わしらも負けておられんし。

小雨が降ってきたので、ストクルを羽織る。
午後4時半すぎ。
9時間半で150キロちょっと走った。
ということは約30分の貯金か。
坂道でずいぶん食いつぶしたな。
さあ、先を急ぎますか。

つづく。

2 件のコメント:

  1. 新緑のパッチワーク・・・

    詩人すぎてビビった。。
    やるのーーーぉ。たっかんさん。
    やっぱり表現が独特で面白いっす。タメになりまっす。

    きじラーメン、とても興味あります。
    バイカーさんと心が通じ合えてよかったですね。
    自転車のことは書けませんが、その他のこと興味ありありで次が楽しみです。

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  2. くるぱんさん、どうもです。
    仕事柄、即物的な散文ばかり扱っているので、ブログでは好きなように書いておりまする(^'^)
    自転車のいいところは五感で、季節の変遷やその土地の空気を感じられることです。
    ブルべではしませんが、ブログでは「寄り道」しながらでの完走を目指します。
    しばしお付き合いを('ω')ノ

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