2017年5月29日月曜日

BRM503広島 須波・太平洋600キロ その6

ようやく高知の太平洋側に到達した。
午後9時51分、254キロ地点のPC3、ローソン南国前浜西店である。
締め切りが12時ちょうどなので2時間9分の貯金ができた。
四国山地を越えた割にはまずまずのペースだ。
今回のコースです!

この調子で行きたいところだが、さて。

さすがに午後10時。
あたりは真っ暗だ。

温かい豚汁を投入して体にカツを入れる。
染みるわあ。

さあ、行くか。
平坦な太平洋沿いの道を西へむかって進む。
が、左右は普通の田舎の風景。
地図上ではともかく、まったく実感はない。


行く手に浦戸大橋が近づいてきた。
左手にキャンプ場があるのか。
林の中に多くののテントが見える。
今はキャンプのベストシーズンだよね。
わしもキャンプしたい(>_<)
テントでぬくぬく寝たい。
でも、今はブルべちう。
それは叶わぬ願いというものだ。

浦戸大橋は、きつい斜度と聞いていたので、歩道を上ることにする。
が、歩道も狭い。

これはナニ時代の道路だ!
と、怒る昭和生まれのオヤジ。
ま、頑張ればこの斜度上れたかも。
この時間なので車の往来もそれほどでもないしね。
と思いつつ、歩道をのたのたと歩く。

ようやくピークに到達した。
下の方からは波音が聞こえてきた。
ようやく太平洋か。

歩道から車道にウノさんを移し、下り始める。
楽ね~~。

まもなく桂浜行きの看板が見えた。
昔、息子がかわいかったころに遊びに来たなあ。
水族館でウミガメを見たっけなあ。
が、今は息子もかわいくなくなった。
関係ないけど。
左折せず、迷わず進む。

丘を下ると、太平洋沿いの平たん路に出た。
黒潮ラインというらしく、高知の有名なドライブ道路とか。

左手からザザーン、ドドーンと低重音の波音が響いている。
瀬戸内海の波音とは違う力強さだ
が、暗くて何も見えない。
白く砕ける波濤が見えた気がしたのは幻だろう。
潮の香りもわしは感じない。
ケーキさんは感じたといっていたが、瀬戸内海ほど濃厚ではない。
せっかく太平洋までに来たのに・・・
こ、これは何のご褒美でしょうか。
ほんとにありがとうございます。
ありがとうございます。

畏怖の念を抱え、淡々と走る。
折れそうな心を支えてくれるのは、波音とそして花の香りだ。
道路沿いの花壇に植栽されている花。
甘い香りが鼻腔をくすぐる。
名前はわかんないけど、ユリの一種かしら。
真夜中まで頑張るわしらをほめたたえているのであろう。きっと。

この黒潮ライン、沿道に目立っていたのがラブホテルである。
何軒もあった。
立ち寄って休憩したくなるのを、ぐっとこらえる。
「男二人でそれはないでしょう」
誰かがささやいているのか。
まだ先に進もう。

橋に差し掛かる。
どうやら仁淀川の河口らしい。
波音がひときわ高くなる。

大きな堤防の横を走る。
南海トラフ地震対策なのかな。
津波避難用のタワーもあった。
工事中の箇所も多かったような。

海岸沿いを走ること15キロ。
港町に差し掛かる。
土佐市の宇佐湾というところだったようだ。

そろそろ眠たくなってきた。
走り始めて16時間が過ぎた。
午後11時を回った。
左手に道の駅みたいな場所がある。
トイレもあるな。
キャンパーがいる。
この時間なのにライト付けている。
GWだからねえ。
ちょっと落ち着かんなあ。
という訳でパス。

調べてみたら、宇佐しおかぜ公園なる場所で、クジラ見学の拠点になっているという。
チャンスがあればゆっくりと(以下略)
でも今から思えば、ここで休んでもよかったのかも。
なにしろこの後、とんでもない難所に向かうのだから。

湾の入り口に橋がかかる。
ここから今回の隠れた難所の一つ「横浪黒潮ライン」が始まる。
横浪半島を横断する延長約18キロの道なのだが、標高0メートルから一気に100メートル台まで上り、あとは延々と数十メートルの標高差があるアップダウンが続くのだ。
そう、広域農道の極悪バージョンといってもいい。
しかも勾配がきつい。
10%とかが普通に出てくる。

これで眺めが良ければ、すべて報われるのだけど、あいにく時間は真夜中。
田舎道につき、街路灯もない。
はるか下方に広がっているはずの太平洋から、時折力強い波音が響いていくるだけだ。
なんのご褒美ですか・・・。

左手の山の上に、ホテルが見える。
ああ、今からあそこに泊まれないだろうか。
GWだから当然、無理だよね。
満室ならロビーでも、いやロビーはご迷惑か。
なら布団部屋(あるのか?そんなもの)でも。
大宴会場でも。
いいや、軒先でもいいんです。
お金なら払いますから。
てなことを真剣に考察していました。

しかし、ペダルを回していると、その宿も過ぎてしまった。ああ。
坂をだーっと下りてしまったので、もう戻れない。前に進むしかない。
わしのバカ・・

当面の目標は、この横浪ラインの途中、292キロ地点にあるはずの「武市半平太先生像」である。
ここが通過チェックになっており、先生の像を証拠写真として残さなければならない。
で、EDGE520Jの距離表示をにらみながら走っているのだが、この距離まで走ると、キューシートとの距離とずれが出てくる。
EDGEのほうが3キロほど多く表示されているのだ。
頭の中でマイナス3して走る。
疲れた脳にはなかなかの負担である。

右への分かれ道がある道端に「明徳義塾中高等学校」という看板があった。
あ、あの有名な高校、こんな豊かな自然に恵まれた環境の中にあるのね。

この隔絶された環境なら野球も強くなるだろうよ。

上る。
下る。
どどーん。
ざざーん。
(※を何回か繰り返す)

坂という存在に憎しみを感じている。
もう結構だ。お前の姿はみたくない。
なのにEDGEの距離表示はなかなか増えない。

そして、なんとか、ようやく。
EDGEが295キロぐらいになったころ。
着いた。
武市半平太先生像に。
午前0時半。

駐車場の入り口を探して、中に入る。
いらっしゃった。
真夜中の駐車場にすっくと立っておられる。
ライトを当てて撮影。

2人とも疲れていたのだろう。
わしは写真の掲示板アップに成功したのだが、iPhoneのケーキさんはえらい手間取っている。
これに時間を取った。
結局ここでのアップはあきらめ、帰宅してからにしたのだった。
用を足したり、補給食を取ったりしていると20分が過ぎてしまった。
トイレも寝場所として魅力的に思えたのだけれど、先に進むことにする。
あと12キロほど走れば、PC4のある須崎だ。

2,3回アップダウンをこなすと、ようやく本格的な下りだ。
海沿いに出る。
横浪半島に囲まれた湾のどん詰まりになるのかな。
ちょっとした平地にはハウスが幾棟も並んでいて、黄色い照明に浮かび上がっている。
あれあれ、あのハウスの中、ぜったい暖かい。

どっか空いていないかなあ。
入り口がないだろうか。
中に入らせてくれんかのう(←不法侵入です)
などと思いを巡らせつつ、明かりを放つハウスさんたちと別れる。
考えるだけなら犯罪にはならないよね(ガクガクブルブル)
長かった横浪黒潮ラインが終わった。
左折する。

小さな峠を越える。
記憶にないけどトンネルを抜けたらしい。
峠を越えたあたりにバス停かな?
東屋があった。
あ、良さそう!
と思ったのだけど、どうやらだれか休んでいるっぽい。
うう、寝るところないか。
泣く泣くパスする。

ストリートビューで確認したらお遍路さん向けの休憩所だったようで。
まじか。寄ってみれば良かったかも。
といっても後の祭り、アフターザフェスティバル。

しばらく進む。
左手にこうこうと明るい巨大な構造物が見える。
何かのプラントか。
入り口がある。
ああ、セメント工場か。
美祢でも見たよね。

まもなく須崎の街中に入った。
ケーズデンキの横を入るように左折。
黄と赤のカラーリングの照明が宵闇に浮かぶ。
すき家だ。牛丼だ。
304.5キロ地点、ここがPC4。
午前1時半、店に入ったのだった。


つづく。

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