スタートからいきなりの急坂が続く。
8%ぐらいなのかな。
とにかくダンシングで懸命に登る。
道路は2車線でゆったりしており、走りやすい。
試走の時はもっと路面に落ち葉や枯れ木があった気がするのだが、掃除されたのかな?
天候は薄曇り。
暑すぎず、この時期にしては絶好のコンディションだ。
が、しんどい。
心拍数がどんどん上がっていく。
時速10キロぐらいまでに落ちる。
700メートルぐらいで下り坂になる。
心拍は165まで上がっている。
下りは追い越し禁止なので、ちょっと脚を休める。
でも速度はどんどん上がり、50キロぐらいになる。
懸命に回す。
まもなく上り返しが来る。
勢いを殺さないように上っていく。
隣りをすごい勢いで抜かしていくバイクがある。
なんとかパスできるバイクもある。
二つ目の丘を越える。
また下りだ。
ここでスピードに乗っておかないと次の坂がきつい。
再び50キロぐらい出る。
アジサイが道端に咲くコーナーを過ぎる。
ここで序盤の半分ぐらいだ。
また上がる。
上ったり、下ったり、まるでジェットコースターだ。
心拍は160前後をキープしている。
レースでは実力が近い人が集まるのだな。
さっきから同じ人と抜きつ抜かれつを繰り返している。
坂を下りると、急カーブ注意のお知らせがある。
ようやく前半の終わりだ。
それまでの2車線の道路から狭い1車線の林道へ右折して突っ込んでいく。
係員がしっかり立って案内してくれるので、不安はない。
STRAVAのログで振り返ってみると、前半は平均時速約25キロだった。
速い人はここを30キロ以上で駆け抜ける。
わしとはものが違う。ほんま。
序盤、実にしんどかった。
出走30分前にはゼリーを飲んだはずなのに、ハンガーノックのような、体に力が入らない感じがある。
そればかりか吐き気までする。
今まで経験がなかったけど、これが追い込むってことなのか?
さあ、いよいよヒルクライム区間の本格スタートだ。
禁漁区の札がかかった渓流のそばを上がっていく。
まずは傾斜がゆるい谷筋の区間だ。
距離的にはヒルクライム区間の半分を占める。
谷筋なので、周囲は木々に覆われて涼しい。
試走時は路面が濡れていたが、きょうは路面はほぼドライ。
これは走りやすい。
ただ轍のない道路の中央部分にはコケが生えている。
ここは避ける必要がある。
がっし、がっしとほぼシッティングで進んでいく。
ほぼ同じペースのバイクと一緒に進んでいく。
さっき頑張って抜かしたら、ぴたりと後ろにつかれてしまった。
ありゃ、わしがペースメーカになっている?もしかして。
もっとも簡単にぶっ千切れるような脚も持っていないので、そのままぜえぜえはあはあと脚を回すしかない。
ちょっと斜度がゆるくなったとこで頑張って引き離す。
どうだ!と思って後ろを見る。
するとまもなく後ろから激しい息遣いが聞こえてくる。
追いつかれた!
負けられない。
手抜きはできない。
後ろの人もわしに遅れまいと必死。
わしも抜かされまいと必死。
競い合うことで、互いにいつも以上のパワーが出ていたのかもしれない。
グレーチングの隙間が広く空いているコーナーを抜ける。
まもなく左側にコンクリの雍壁がある右への急コーナー。
このあたりから谷筋が終わり、山の斜面へと出る。
景色が広がる。
斜度も次第に急になる。
荒鹿坂の激坂が牙をむく。
まさに胸突き八丁。
九十九折を上がり、どんどん高度を稼いでいく。
コーナーの内側を突くような攻撃的な走りはできない。
外側をゆるゆると上るだけ。
時速10キロ前後。
心拍数は160前後をいったりきたり。
160を超えて、ちょっと辛いと感じたらペースを落とす。
でもしんどい。
この激坂で後ろについていたバイクがようやく離れていった。
息遣いが遠くなっていく。
ちょっとした勝利の快感だ。
ほぼ急坂が終わった。
と、道端に応援の一団が。
それぞれにお目当ての選手がいるのだろうが、わしたちにも等しく声援を送ってくれる。
素直にうれしい。
いいところを見せようと、頑張ってダンシングをして上っていく。
山を回りこむようにして、峠のピークが近づいてくる。
残り2キロの看板が出る。
ここから左折して尾根筋に入る。
あれ、前を走っていた人がトラぶってバイクから下りている。
こういうこともあるんだな。
斜度は緩くなるが、激坂を上りきった脚には応える。
左手には壮大な風景が広がるが、見る暇がない。
ほかのバイクを抜かす。
「あともう少し頑張りましょう!」と互いに励ましあう。
と、ちょっと前にゴールしたはずのken2さんがコース脇に。
写真を撮りにわざわざ来てくれたのだ。
これはうれしい。
ヒャッハーーーー!!
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撮影・ken2さん |
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撮影・ken2さん |
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撮影・ken2さん |
最後にもう一張り。
ゴール前100メートル。
ラストスパートだ。
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撮影・サイクリストビュー |
すると、ワゴン車が見えた。
ようやくゴールだ。
計測装置のあるゴム床の上を駆け抜けた。
やった。おわった。
わしにとって初めての自転車レース。
確かに疲れたけど、気持ちいい。
石見グランフォンドの200キロを走りきった時とまた違う満足感だ。
ともかくゴールできた。
絶対的には速くはないけど、少しは人も抜かせた。
わしも捨てたもんじゃない。
そう思えたのだった。
つづく